パリ燃ゆ 3 (大佛次郎ノンフィクション文庫 3)
パリ燃ゆ 3 (大佛次郎ノンフィクション文庫 3) / 感想・レビュー
松本直哉
祖国とは、愛国とは、何なのだろう。既得権を守りたい地主や富裕層に支持された国防政府が社会主義革命を怖れて戦意を失い、プロシアと屈辱的・売国的な和議を結ぶ一方、パリの労働者や貧民は飢餓線上に喘ぎながら徹底抗戦を貫こうとする。両者とも愛国を謳いながらもその内実は異なる。ちゃっかり自己保身しながら愛国を叫ぶ人には説得力が感じられない。無名の市民や女性たちによる自然発生的な、それゆえに危うさを内包したパリ・コミューンの愛国心に、真実性を感じる。たとえそれがルイ・ボナパルトのクーデタ以来のルサンチマンによるとしても
2014/06/29
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