心はなぜ苦しむのか (朝日文庫 き 15-1)
心はなぜ苦しむのか (朝日文庫 き 15-1) / 感想・レビュー
かりんとー
はじめは神経症、不安について客観的な視点から分析していく本、かと思いました。しかし、後半は客観的視点を離れ、岸田氏の母親に対する絶望的な不信が強く語られています。母親を化け物と言ってはばからない岸田氏、それを理解できない聞き手。その丁々発止のやりとりが岸田氏の心の闇を浮かびあがらせています。南伸坊さんはあとがきで「なんで人間というのはいつまでも子供の頃の呪縛から自由になれないのだろうか」と書いています。 幼い頃のほんの些細なことのように思えることが、とんでもなく重大で取り返しのつかないこともありますね。
2014/11/29
ヒカル
薄々感づいてはいましたが、人はやはり悩みから逃れられないようです。それにしても、巻末のエッセイで南伸坊さんが書いているように岸田さんの母親を化物呼ばわりするのがどうも理解できませんでした。本当に正直に心の内を話しされていて読み物としては面白かったです。
2012/08/05
lostwatch
人間は狂ったサル。自我はその成り立ちからして不安定であり、人間であることは不安に苛まれること。その著者の考察からは、本能に頼ることができずに自我という幻想から無縁の動物ではいらなかった、一種の奇形としての人間に対する静かな諦観がある。 絶望のふちで死にそうになっているのなら、万が一の場合救われたりするかもしれない。 その後は、こういった類の本からは卒業して「金持ち父さん」でも読むのが良いと思うが。
でっていぅ
岸田先生とインタビュアーの志摩さんに感謝したい。巻末エッセイで書かれているように、自分のことを自分で考え抜いている二人の素晴らしい対話だと思う。第四章の恋と憎しみに関してはあまりにも自分の状況と重なることが多くて驚いた。
2013/05/28
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