作家の口福 (朝日文庫)
作家の口福 (朝日文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
かつては食を語りながら卑しさに堕せず、むしろ豊饒を感じさせる、あるいは「いき」の美学を垣間見させる作家がいた。谷崎潤一郎や池波正太郎がそうである。本書は「作家の口福」と題して、20人の作家たちの食にまつわるショート・エッセイ(各人4篇づつ)を集めたものである。元来は朝日新聞に連載されていたものだが、おそらくは「食に関してならどんなことでも結構です」といった、編集部のコンセプトの甘さが災いして、凝縮度の弱いものになってしまったのは残念至極である。そうした中で存在感を示しえたのは角田光代、中村文則の2人か。
2017/03/06
hiro
20人の作家の朝日新聞に連載させた食に関するエッセイ集。うち9人は何かしらの作品を読んだことがある方でした。既読の作家のエッセイを読むと、未映子さんはいつもより遠慮気味だが、例の句読点の少ない文書、しをんさんは、これも少し遠慮気味な自虐ネタ?、光代さんは、旅行好きらしくすべて旅行ネタと、作家さんの特徴・好み等が見えてきます。ところで、20人の多くが芥川・直木賞の受賞者でした。芥川・直木賞受賞者には、このような軽い新聞連載のエッセイみたいな仕事がくるのですね。やはりすごい賞だと変なところに感心しました。
2012/03/27
いつでも母さん
うん。サックリ読了でした。しをんさん目あてだったのだが(勿論、面白かったよ~)それぞれの作家の『食』面白かった!朱川さんの『蕎麦屋』に頷いたり、道尾さんの『バーにて』にグッと来たりもした。食いしん坊の私には、どんな時間帯に読んでも誰のエッセイでもお腹がすくわぁ(笑)
2015/07/04
エンブレムT
「食べ物について好きなことを好きなだけ」というテーマで書かれた、20人の作家による“自分だけのご馳走“を明かしたエッセイ集。掲載されたのが朝日新聞土曜刷りということで、緩いながらもややよそゆき風味かも。同じテーマで書いていても、そのアプローチ法は作家によって全く違っているので楽しく読めました。小説を読んだ時に抱いていた印象からはかけ離れたご本人像が浮かび上がってきた方がいらっしゃったのも面白かったです。気のせいか、愛読度が高い作家さんになるほど、日常生活の中で酒を飲む理由を探しているような・・・(笑)
2013/04/22
miyumiyu
直木賞・芥川賞受賞中心に、20人の作家が語る美味しいエッセイ。おもしろかった!恩田さんの、旅のお供のぐいのみから引き込まれる。お目当ての朱川湊人さんは、エッセイもノスタルジックで期待を裏切らない。初読みの、絲山秋子さん、古川日出男さん、山本文緒さんの食エッセイが上手い。中村文則さんはおもしろくて、小説も読んでみたいと思った。絶対食べてみたいのは、森絵都さんのオイルフォンデュのはんぺん。三浦しをんさん、道尾秀介さんは、食レポじゃなくても十分おもしろい(≧∇≦)さらりと読める、読み応えあるエッセイ集。
2018/08/28
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