俺に似たひと (朝日文庫)
俺に似たひと (朝日文庫) / 感想・レビュー
やせあずき
著者が単身で父親を介護した1年半の物語。母の死の直後、父と2人の介護生活は不意に訪れ、死とは?生きるとは?親と子とは?今すべきことは?と自問自答し、葛藤しながらも最後まで介護を全うされます。人間は食べて、風呂入って、出して、寝るっていうことが自分でできなくなって初めて、生きるとは何か、死ぬとは何か、に向き合わざるを得ないと著者はおっしゃっています。介護を引き受けるとは、それを目の当たりにすること、その苦悩が生きる意味を教えてくれるのだと感じると同時に、これまで考えることを避けてきた自分に気付かされました。
2015/04/18
Gatsby
いつもはまわりの人があまり言わないことを私達に語ってくれるおじさんである平川氏の描く物語。お父さんの介護をされているのは知っていたのだが、いつもとは違って「俺」という一人称で語られているからか、フィクションとして読んだ。親父が亡くなるまえに読んでおきたかった。そうすれば、もう少し親父との接し方が変わっただろうし、一緒に過ごす時間も増えたのではないだろうか。読んでいて辛くなる場面もあるのだか、現在介護中の方も、すんでしまった方も、これからの方も、読んでみてほしい。
2015/03/03
korrya19
著者の高齢の母が亡くなり、残された父との同居から介護、看取りの日々を綴った作品。タイトルが示すように、親の介護・看取りはどこか似通った心情になるものかもしれない。私自身も父親との最期の日までのことをこの本を読みながら何度も思い返した。 特別親子仲が悪くなくとも、話し足りていないと感じることも多いだろう。いずれ誰にでも来る死というものに、どんな風に向き合うか。覚悟を決めていても、やはりその時がこなければどうなるかわからない。でも、それでいいのかもしれない。 介護・看取り、一人一人似通っていて、でも違うから。
2015/03/23
タイコウチ
高齢の母親が亡くなった後、残された父親と同居し、昼間は自分の仕事をしつつ、食事、洗濯、風呂、排便の世話まで含む介護をしながら、最後に看取るまでのことが淡々と記録されている。ちょうど震災を挟んでの時期で、著者が60歳前後の頃の話。条件はいろいろと違うが、今まさに似たような状況に入りつつある自分にとっては、貴重な先達の声であり、身につまされる。自らのこれからの老いについても考えさせられるところがあった。それにしても、「変化は、それが目に見えたときにはすでに終わっているのだ」ということばは重いなあ。
2017/08/30
あずき
「一人で過ごす昼間を、どうやって過ごしているのか。」今なら分かります。特に何をするでもなく ひたすら子供の帰りを待つのです。親の介護は、その中にいると時間が流れているのか 止まっているのか分からなくなる時があります。生きること、死ぬこと、そして今まで考える事がなかった親の人生を振り返る。皆同じかも知れませんね。介護は自分でも精一杯だったつもりでも どうしてもたくさんの後悔は残ります。今 頑張っている人に、これからの人にも是非読んで欲しいです。
2015/05/26
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