非常時のことば 震災の後で (朝日文庫)
非常時のことば 震災の後で (朝日文庫) / 感想・レビュー
あふもん
それでもそーいう時に自分が何をどう捉え、どう言ったらいいのかわからん時もある、ということだけは言っておこう
2016/11/29
メタボン
☆☆☆☆ 高橋源一郎の「言葉」に対する考察は鋭い。川上弘美の「神様(2011)」の読みについては特にそう感じた。圧倒的に悲惨な状況を描写しているのに何故その文章は美しいのか。ジャン・ジュネ「シャティーラの四時間」石牟礼道子「苦海浄土」から、高橋源一郎はその文章を抽き出してくる。堀江敏幸「なずな」を例にして赤ん坊と向き合うときの言葉についての洞察も良い。
2021/08/13
hanchyan@だから お早うの朝はくる
その著作全部を読了していないという点において自分は著者の良い読者ではないのだが、デビュー作以来、読んだ著作全てが「なんだかわからないけどやたら面白い!」と感じる、あの江藤淳ですら認めた、吉本隆明いうところの「ポップ文学」の旗手・インテリ源ちゃん。ファンです。んで、それほどの作家が「あの日」ののちに陥った「(文学的)失語状態」から立ち直るための、リハビリの過程を観るような一冊。とりわけP83~84、Ⅰ章末尾のイディオムの5行は深く感動。泣きました。
2017/03/12
百太
高橋源一郎、面白い!-他の著作も絶対読むぞ!「あの日」から、まったく違った感覚で読んでる文章が沢山あります。
2017/03/17
penguin-blue
事実を伝えた言葉は強い。当然、それにはそれを伝えた人の視点や考えが反映されるわけだけれど、それでもそれが事実と言うことだけで読み手に大きなインパクトを与えるし、その文章が共感や想像力をかきたてるものならなおさらだ。実際、作者が書中で引いているジャンジュネの難民キャンプの虐殺や、石牟礼道子の「苦界浄土」の一節はそれだけでも非常に強い感情を呼ぶものだった。だから作者の言いたいことはよくわかるのだが、結局作者がどんなに非常時を語っても説明や評論は事実を淡々と伝えたものには勝てないのね、とも実感してしまうのだ。
2017/02/01
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