漂うままに島に着き (朝日文庫)
漂うままに島に着き (朝日文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
内澤旬子さんの小豆島移住記。引っ越しにまつわるもろもろの苦労から、小豆島での暮らしまでを綴る。小豆島には行ったことがないのだが、想像していたよりもずっと大きな島のようだ。なにしろ港が7つもあるのだ。紆余曲折の末に彼女がたどり着いたのは、三都半島にある広い家。家賃は4万円。そこで山羊を飼って、ワナ猟に励み…当初は野菜造りなども試みるはずであったらしいのだが。他にも随分こうした島への移住者は多いらしい。しかも、女性の単身者が。この移住記を通して、現代のある種の世相、女性たちの生き方の模索を知ることができる。
2020/10/24
ゆいまある
「着せる女」でサッパリした考え方にすっかりハマった。内澤さんの小豆島移住記。私も東京から香川(島じゃないけど)に移住してきて17年近く経つ。小豆島には行ったことがない。東京の家賃と渋滞を思い出すと香川は信じられない程暮らしやすい。内澤さんにとってはヤギを飼いやすく狩猟しやすい環境だったが、私にとっては育児しやすい土地だった。夕日に照らされた瀬戸内の島は夢みたいに綺麗だし、暖かくて作物もよく育つ。下水設備が先進国と思えない程足りないのと、うどんしかないけど仕事さえあればみんな引っ越してくればいい。
2020/06/14
アキ
東京から小豆島に居を移した40代独身女性の顛末記。月と海と本棚のスペースがあればいいと小豆島の空き家バンクで物件探しして、理想的な貸家に住んでからお隣さんに昭和51年の台風で濁流に流された家の後だと知る。東京から移住した人たちと知り合い、島でヤギを飼い、ご近所さんから野菜や魚やお菓子をお裾分けされながら、嫌味も言われず過ごす様子に、時代も変わったもんだと思う。2019年文庫版のあとがきでストーカーから島内で移住されたようだが、これは高松市内の男性だと。瀬戸内は芸術家も増えてるし、移住にいい場所なのかなあ。
2020/10/18
booklight
小豆島移住記。「身体のいいなり」は、突き放したようながん闘病記で、頭から体への思考の転換に立ち会ったように面白かった。今回は場所の転換。ざくざくと決めてとっとと引っ越したいところがなかなかそうもいかず、色々四苦八苦している。それでも移住してみると、恐れていた居住者からのいじめもなく、ヤギもかわいいし、月見はできるし、おすそ分けも多く、移住者コミュニティーもあり、快適なよう(でもその裏ではストーカーが…)。好みとしては細かいことは置いておいてもっとざくざく楽しんでほしいのだが、ディテールの話が多い印象。
2021/03/07
あーびん
乳がん闘病後に離婚や断捨離などをへて、息苦しい東京の暮らしを捨ててついに小豆島に女一人で移住してしまった内澤さん。離島暮らしって憧れるけれど、仕事や交通手段や何よりも人間関係が大事!小豆島ではアーティスト・イン・レジデンスなる制度があり、若い女性の単身移住を受け入れやすい土壌があったのが幸いして楽しそうな島生活が語られている。文庫版あとがきで、その後のストーカー被害に言及した悲痛な近況を読むと本文との温度差にぎょっとした。やっぱり島生活大変そう...
2019/10/13
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