むくどり通信 (朝日文芸文庫 い 38-2)
むくどり通信 (朝日文芸文庫 い 38-2) / 感想・レビュー
marimo
★★★ 寝る前の短い時間に少しずつ読み進めた。ひとつ4ページくらいの短いエッセイで、まさに「むくどり的好奇心」でいろいろな方面に目を向ける筆者の思考を追体験する。南の離島やアジアの辺境でのエピソードも興味深かったが、なかなかそれを実際に体験するのが難しい身としては都市生活の中での発見(ビルの上のクレーン車や『ノルウェイの森』の散歩など)を楽しんだ。インターネットや携帯電話の普及していない時代。自分の目で見て、感じることの大切さを改めて知る。
2016/07/05
りょうた
のんびり読める。柔らかな語り口で世界に少し違う角度から光を当てる。作家の目から世界が見える。
2016/05/12
左脳
いつも通りの湿度は低いが瑞々しい語り口によるエッセイ。時節柄、「発電所の作りかた」で紹介されている『これからやりたい人の小型水力発電入門』という本が気になった。また、「ミステリーは細部に宿る」で偶然にも『神の火』が取り上げられているのも、あの地震の前に読んでいればこうも鮮明に記憶に残ることはなかっただろう。
2011/03/28
宙太郎
どうやら氏は小説・評論用とは別に軽いエッセイ用の文体をお持ちのようだ。この本は今まで読んできた氏の作品に較べずいぶんいたずらっ子っぽい印象を受けた。「エンドレス」,「嘘は罪」なんて特にそう。一方,社会事象を見つめる視線の鋭さは健在で,「磯野家の謎」に僕たちが感じるかすかな違和感を見事に解析して見せてくれる。「『袋,いりません』」に至っては,現在のポリ袋有料化を25年も前に予言しているよう。氏みたいに先が読めればポリ袋有料化なんて不細工な政策を打ち出さなくても自主的に手が打てたのではと思ってしまう。
2022/08/10
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