まだ見ぬ書き手へ (朝日文芸文庫 ま 3-2)
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まだ見ぬ書き手へ (朝日文芸文庫 ま 3-2) / 感想・レビュー
mura_ユル活動
1994年の著。文学という非常に厳しい世界。作家にとって覚悟がどのくらいあるのか。孤独に徹する日々を送ること。食事回数を減らすことによりハングリー精神で凄い力が湧いてくる、感情が豊かになる。周りの ものに振り回されるなとも。長寿でなくてはならない。芸術を志すものが絶対に近づいてはならない相手。書き手にとっての証拠は作品のみ。「「日月山水図屏風」の作者不詳ということに、芸術家としての本来あるべき姿のすべてが込められているような気がしてならない」とも。途中、自分のしている仕事の厳しさとも比べた。
2013/06/28
Yui.M
1994年に発行されているので古いとも新しいとも言えないが、作家志望の者にとっては勉強になるし参考になることがたくさん書かれていた。けれど半分は、文壇への嫌悪感や作家というものに対しての持論が展開されており、「まだ見ぬ書き手」への愛にあふれた教授本ではない。もちろん甘えていては作家などになれないのだろうけれど。
2019/02/19
ももたろう
丸山健二が透徹した素晴らしい作品を書く理由がよく分かる。原稿を最低でも七回は書き直しをすることや、推敲は読み直して書き加えるのではなく、読み直して欠点が分かったら新しい原稿用紙に書き写しながら手を加えていくこと、24時間見たことや思いついたことを片っ端からノートに書き留めること、出来上がるまでは誰にも語らないこと、交友関係まで整理すること、安定から遠ざかり危険な方向へと進むことなど、どれも全て素晴らしい。彼が孤高の文学者と呼ばれる所以が、この作品に詰まっている。この作品からは、多くのことが学べる。
2015/09/11
greenman
現代日本文学はレベルが低いと言い切ることから本書は始まる。その上で、文学という大海に挑む者に厳しさをもって説く。その姿勢はただ文学に一途だ。文章を書くことを仕事にしている、またはしたい人は、この本で勇気付けられるとおもう。さらに、これは文学だけでなく、その他の芸術を志す人にも通じる精神だろう。彼のような精神から、近代文学にとらわれない「文学」ができるのかもしれない。
2010/01/11
ハイランド
感動、ただ感動。創作という行為が究極の孤独な作業であること。立ち向かうために人生を書ける覚悟を要すること。こういう創作態度で描かれた作品がどれだけあるのか。作者の言う真の小説を読みたい。
2014/02/19
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