普通の人 (朝日文庫 あ 24-3)
普通の人 (朝日文庫 あ 24-3) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
安西水丸のヘタウマ漫画。1982年に出た単行本の文庫化である。安西水丸と言えば代表作の1つにこれが浮かぶが、巻末の北川悦吏子の解説によると、著者曰く「ぜんぜん売れなかった」らしい。昭和50年代であるから、こういう漫画は好き嫌いが激しかっただろうとは思う。私はこれを図書館で借りて読んだが、持っていたら繰返し読むだろうと思う。面白い。近頃の日本人が好きな「ユルい」ものの先駆けである。あの当時の雰囲気や気分も出ていて良い。登場人物の男が女の胸や尻を盗み見て、女は男の股間を盗み見るのも良い。私もよく盗み見る。
2016/01/23
ねこさん
村上春樹の『夜のくもざる』と『雑文集』を読んで、10代20代の頃は苦手だった水丸さんのイラストが今さら良く思えてきたような気がして。宝島か、内容的にガロっぽい(根本敬をオシャレにした感じ)とも言えますが、時代の空気かも。コピーライターやイラストレーターがネタの自嘲もあり。普通と特別、批評する側される側、ワカッテル人ワカッテナイ人。自己評価が高い人はなぜか自己否定をアピールするけど、概してスイッチ入ると攻撃性もかなり高めなので、村上春樹が薦めても売れなかったこととあわせて、考察しがいがある本かもしれません。
2020/01/29
海恵 ふきる
ゆるい画風で「普通の人」を描く連作。主婦は訪ねてきたクリーニング屋さんの男性に対して妄想を繰り広げ、お父さんはホステスに向かって愚にもつかない昔の自慢話を一生懸命する。あ〜情けない。馬鹿馬鹿しくってならない。哀しいくらいに人間だ。しかし『平成版 普通の人』で解説を書いた村上春樹さんは、このひとたちはどこにでもいるし、もしかしたら自分のことかもしれないなんて旨のことをいう。この本は全然売れなかったらしいけど、クールで洒脱な水丸さんはちっとも気にしていないらしい。それがまた、いいですよね。
2020/07/27
K
面白かった。「普通の人」になるのは嫌だな、と常々思うけど、この本の中には自分もいるのだろうな。。
2011/10/02
ahocky
面白かった。これが当時の普通。きっと今はまた別の普通。その普通に含まれる事というか、含まれていることに気がつけることが一番楽で、シアワセなことかもしれない。
2012/09/30
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