完本小津安二郎の芸術 (朝日文庫 さ 8-6)
完本小津安二郎の芸術 (朝日文庫 さ 8-6) / 感想・レビュー
津和蕗 きりあ
小津安二郎監督の作品の時代背景と、ひとつ、ひとつの作品に対する思いの垣間見える本です。
柴多知彦@cinema365
元本の初版は71年なので小津が没した63年から十年たらずで執筆されている点にまず留意。小津をリアルタイムで見た世代ならではの皮膚感覚は何より貴重。まず小津作品に共通する独自の技法について100Pを割いて考察、そこから改めて彼の生い立ちを語り、フィルムが現存しない初期作から遺作まで丁寧に解説していく。小津が晩年のガチガチの保守主義にいかにたどり着き、それを反復した意味について著者独自の視点でわかりやすく説明されている好著。言及されているわけではないが、個人的にはホン・サンスや初期アン・リーへの連想が膨らんだ
2016/03/13
感想・レビューをもっと見る