荷風極楽 (朝日文庫 ま 19-2)
荷風極楽 (朝日文庫 ま 19-2) / 感想・レビュー
浅香山三郎
松本哉氏の荷風本は、『荷風ひとり暮し』(朝日文庫)に続けて2冊目。前作はどちらかと言ふと、墨田川近辺のスケッチに注力して書かれてゐたが、本作はもつとひろく人生の各場面を通じた様々な場所に注目する。また、『断腸亭日乗』に記されない荷風の行動など、荷風の親類に取材した『断腸亭日乗』のある種のフィクショナルな側面についても思ひを巡らせてゐる。研究者的ではなく、編集者的な視点からの荷風論といふ感じがする。
2023/05/16
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