平成三十年 (下) (朝日文庫)
平成三十年 (下) (朝日文庫) / 感想・レビュー
初美マリン
登場人物の名前があまりに露骨だったのですが、これでは国盗り物語になってしまった
2019/01/15
まつうら
(上巻の続き)日本改革会議というのが立ち上がって、政府のあり方を問い直す動きが出始めると、物語はちょっとスピード感を増す。現在の政策は供給サイド、つまりは産業界ばかりに目がいっていて生活者サイドの政策がないというフレーズは目からウロコだ。改革の施策としての、法令の10年サンセット制、キャリア官僚の任期10年制という施策もなかなかおもしろい。しかし、物語の後半はめまぐるしく変わっていく政局の行方に着目していて、これら10年制の施策が具体化される様子はなかった。いい話だと思ったのに、ちょっと残念な終わり方だ。
2023/02/05
どぶねずみ
著者の堺屋太一さんは、およそ25年前にこの小説を書いたけど、ご本人はまるでこの20年後を予測した内容の答え合わせをしていたかのように、今年2月に亡くなってしまった。官僚や政府の仕事は20年以上前から水面下で動いている案件もあるだろうけど、かなり一般市民レベルで当たっていることが多く、経済について詳しくない私でも楽しく読めた。あまり良い方向に傾かない未来、25年前でも確かに予想できたことかもしれない。
2019/04/27
T K
資源・食料価格の上昇、少子高齢化、非効率部門の温存。輸出競争は激しくなる一方、移民は低学歴が入り高学歴が出ていく。そして中国製の自動車が増える。 護送船団でなく自由を叫ぶ織田総理。法制、公務員任期、首都などの時限化。医療、土地流通、教育などの自由化。無税、無規制、無国籍の完全フリーゾーン設定 。例えば、学生に教育クーポン券を配る。学校は通学してくる学生からクーポン券を回収しそれを政府が買い上げる。学生が来ない学校は、食券も回収できずお客の来ないラーメン屋と同じく潰れるまで!そして総理も潰される…
2016/09/04
Nobu A
やっと読了。あとがきに「予測小説」だと記され、ちょっと驚き。読書中、どれだけ予測が当たっているかに焦点が行ってしまった。なので、偏った感想かもしれないが、数行の空欄を挟み目まぐるしく展開が変わる手法のせいか、文章に流れが感じられず、読みにくかった。登場人物が比較的多かったの一因かも。予測に関しても、少子高齢化は当時から既に分かっていたし、頻出の「知価社会」と言う表現も馴染みがない。「知識産業」だと市民権を得ていると思うが。外国人労働者増加に触れていないのにも違和感。ただ、著名な作家なので他著に期待しよう。
2019/11/14
感想・レビューをもっと見る