欅しぐれ (朝日文庫 や 20-1)
欅しぐれ (朝日文庫 や 20-1) / 感想・レビュー
きょちょ
彼の作品は初読。 履物屋の主人と渡世人の親分、二人とも人間を見る眼があり、固い友情で結ばれる。 敵は、履物屋の乗っ取りをたくらむ輩。 乗っ取りを依頼された騙り屋が賢く強いのが良い。 履物屋の葬儀の差配の場面がなかなかのもの。 最後は、昔の高倉健のやくざ映画の時代劇ヴァージョンになる。 遅まきながら面白い作品を描く作家に出会った。 いろいろ読んでいこう。 ★★★★
2019/04/20
シュラフ
もっとも山本一力さんらしい作品である。江戸時代、深川の老舗商家・桔梗屋をめぐる乗っ取り劇。主の亡き後に賭場の貸元・猪之吉の奮戦により無事に乗っ取りをたくらむ一味を見事に撃退する。男は格好よく生きなければならない。では、格好よい生き方とは・・・それを学ぶためには、この物語の猪之吉のひと言ひと言をかみしめていけば分かってくるだろう。筋を通す男の場面、というのを見る機会は少ない。若者には読んでほしい。朝日文庫というマイナーな出版社のためレビュー数が少ないのだと思うが、山本一力ファンなら手に取るべき一冊だ。
2014/06/17
コージー
霊巌寺裏の猪之吉、カッコいい。そして太兵衛との友情がまたいい。こんな風に付き合える、信じ合える友っていい。やっぱり心根、大事だなあ。もっと心を大きく持ちたいものだ。
2015/11/19
ゆうこ
気風の良い人たちばかり出てくる、胸の空く話でした。ひょんなことから親交を深めた大店の主と、渡世人。住む世界が違くはずなのにそれぞれの生き方に惚れこむ。病を得て命尽きる時も、乗っ取りの騙りにあった時も、立場を超えて結んだ親交で乗り切ってみせた。 読み終わっても、興奮冷めやらず。こんな漢、渡世人であろうがなかろうが惚れない人はいないと思う。胸の熱くなる良い話です。
2023/07/04
鮎川まどか@AnxAn
大店の旦那と渡世人。道を極めた男たちは僅かな接点からお互いを認めあい、心を通わす仲となる。 全体の筋書きは単純なのだが、何度かある「認めあう瞬間」の描写が格別。 また、敵役が葬式の段取りから相手の器量を測ろうとするシーンが印象に残る。 侠気を学べる傑作。
2011/09/16
感想・レビューをもっと見る