弘海 息子が海に還る朝 (朝日文庫 (い67-1)) (朝日文庫 い 67-1)
弘海 息子が海に還る朝 (朝日文庫 (い67-1)) (朝日文庫 い 67-1) / 感想・レビュー
あつひめ
なんで、こんなにいい人ばかりがいるんだろう。いい人の周りにはいい人が集まってくる。そんな気にさせられた。子供が自分の手から巣立つ時。先に何があるかわからない不安だらけな時でも大きな心で送り出せるのが親なのかもしれないですね。助けることも大事だけど見守ることも。子供は自分の「物」ではないのだから。親の背中をみて子は育つと言うけれど、息子さんに両親の意識が集中していてもすねることなく一緒に心配できる気持ちの良い娘さん。こういう家族の心が減ってきている今だからこそ、少しでも距離感の保てる家族になりたいと思った。
2014/06/12
なないろ
とっても優しい物語でした。弘海くんに対してのお父さんお母さんの接し方がとても好きです。一人の人間として尊重して個性を認める…子どもに対してのそんな接し方は憧れます。幻想的な市川ワールド、友達の絆、家族の絆に涙がこぼれました。
2015/02/12
いずむ
親に愛され、妹に愛され、友に愛され。そしてまた、親を愛し、妹を愛し、友を愛し。やがて仲間と出会い、生きる場所を見出し、そして旅立つ。その時の訪れは、少し早かった。けれど、きっとこれってすごくフツーなコトだと思い。だからこそ、家族という器の中に満ちた屈託のない愛情が、あまりにも眩しくて、少しだけ切なくて。人とは少し違う成長を遂げた彼は、今はもう、海に還ってしまったのだろうか。もうそうだとしても、きっと彼と家族はまた繋がり合える。彼があらん限りの声で叫ぶ「大好きだよ」の思いは、水の中でこそ、遠く響き渡るのだ。
2012/10/17
ももんが
★★★☆☆市川拓司さんの作品は綺麗で清潔感のある感じがします。息子の弘海に向けて書いた手紙がとても愛が溢れていて自分の胸が暖かくなりました。悲しいけど、新しい未来が見えてくるような気がしました。
2016/05/31
なおみ703♪
つい先週『不寛容社会』をテーマに議論するテレビをみていた。ネット社会の中で他者に過敏でかつ正義感が度を越して攻撃的な社会。私も仕事においては自分の言動を非常に注意するし生きづらさを感じるくらいだ。そんな折、この書に出会った。この本は、そんな今の社会から立ち戻り、優しさ、穏やかさ、思いやり、ささやかな幸せ…に気付くサプリメントのような書だと思った。羨ましいほど家族が優しくて高望みではなくその子らしい生き方を応援できて、互いに気づかいつましくても幸せで、読んでいて気持ちがほっこりする。児玉清さんもお薦めの書。
2016/06/14
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