悪人(上) (朝日文庫 よ 16-1)
悪人(上) (朝日文庫 よ 16-1) / 感想・レビュー
yoshida
吉田修一氏は好きな作家である。本作は先に映画を観ていて、おおよその内容は把握している。映画で祐一役の妻夫木より、光代役の深津絵里より、存在感を放っていたのは佳乃役の満島ひかりだった。不器用な祐一は母親に捨てられ祖父母に育てられる。他人との距離感が掴めず、異性とも上手くいかない。出会い系サイトで佳乃と知り合った祐一はのめり込む。そして事件は起こる。本作は人間の内面の見栄やエゴ、暴力的な感情を質感を持って表現している。べたつく空気感。それぞれの持つ小さな悪意。上巻は一気読み。下巻も楽しみな傑作。
2015/03/04
おしゃべりメガネ
映像化もされた作品です。上下巻のボリュームが少なく思えるほど、アッという間に読み終えてしまう素晴らしい作品でした。映像化される前に読了済でしたが、とにかくその陰鬱な世界観が圧巻です。陰鬱さがストレスに感じない、むしろ醍醐味であり、真骨頂なんだろうなと感じました。作者の他の作品も何作か読んでますが、ブッチギリでベストな作品ではないでしょうか。個人的には『女たちは二度~』が好きなのですが、とにかく本作の持つ決して表面化されないアンダーグラウンドな‘負‘のパワーをしっかり感じてほしいです。読後感は悪くないです。
2011/09/10
にいにい
吉田修一さんの3作品目。吉田さんの作品で読友さんの推薦が最も多かった作品。なかなか興味深い。OLの殺人事件で、犯人は捕まっているでも、どんな事件かはこれから語られる。関係者それぞれの詳細が順次語られる。吉田sんの描写は、凄いな。細かな性格付けがなされてる。誰が、「悪人」なのだろう?犯人ではないよいな気もする。みんなが、それぞれ悪人なのかな?下巻を読む喜びが増す上巻だ。
2014/06/23
抹茶モナカ
映画が面白かったので、読みました。芥川賞作家の作品なので、格好良い文章に出会う事を期待していましたが、意外に普通。描写にリアリティーがあったのが、エンタメ系作家との違いだろうか。携帯電話での出会い系サイト利用とか、時代を感じさせるところもありつつ。映画を観るより先に読めば良かったかな、と後悔しました。
2016/05/16
mura_ユル活動
こんなに堅い文章だったかな。吉田修一さんは、4冊目。クライム系は初めてだからか。犯罪に巻き込まれ、被害者の身元確認が手に取るように運ぶ。親も会社の同僚も受け入れることが出来ない感情の描写が印象に残る。吉田さん出身の長崎と福岡。長崎と福岡の会話文、微妙に言葉遣いが違うのがわかったのがうれしい。まとめは下巻読了後に。
2018/09/07
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