性交と恋愛にまつわるいくつかの物語 (朝日文庫)
性交と恋愛にまつわるいくつかの物語 (朝日文庫) / 感想・レビュー
佐島楓
セックスとそれに付随するすべて(もしかして、生活も? それどころか、人生も?)は、全部消費財となった。だって、この作品集だって、パッケージングされた時点ですでに消費財なのだもの。現代の世の中、そういうことにあまりにも自覚的でいるのも、けっこう不幸なのかもしれない。
2018/09/20
ヒラP@ehon.gohon
ラジオのパーソナリティを努めている高橋源一郎さんのイメージがあって、放送に差し支えるような作品を想像していなかった自分は、この本のタイトルにも作者の実験性を思ったのですが、内容で頭が混乱してしまいました。
2023/08/17
ちぇけら
「あんたは、自分が他の人間とは違うと思っている。他の人間はみんな間抜けだと思っている。自分だけが気づいていると思っている。そこがあんたの欠陥なんだ。」おちんちんとおまんこ、肉と肉がぶつかってパチンパチンパチンのリズム。自意識にすっぽりと包まれて包茎、セックスに必要なのは愛だよ。あふれる愛こぼれる精液果てのない絶望、どこにも逃げられない生きていくしかない。
2018/12/15
ぼっせぃー
「キムラサクヤの……」「ウィンドウズ」。限られた情報しか取り入れられない故に偏向した思考を強引にトレースさせられるの、キツすぎる体験。いわゆる非モテを安易に擦り倒せる最後の時代の作品だったのかもしれない(明らかに認知の歪みや境界知能を扱っているという認識はなさそう)。最後のシーンを監督の側の葛藤(何に対する葛藤?これもまた「願望」でなく「悪習」と感じているのだろうか)で〆てしまうナイーブさが、監督の哄笑と勃起で幕を閉じさせたに違いない筒井康隆あたりとの“露悪”についてのプライドの無さが感じられて鼻につく。
2022/07/04
bookworm1963
正義や倫理という児童文学のテーマの対極にあるような内容が続きますが、それは誰もが心に底に隠し持っている低俗で醜悪な部分であり逃れられない本能に根差すものでもあり、そうした物を生で目の前に曝されて受ける衝撃や不快な思いを超えたところに見えてくる本質がテーマなのかな等と思いました。エロは人の性でもあるので文学として取扱う重要なテーマなんですね。ユーモアを文章にして笑わせるというのは相当に高度な技術。高橋氏の物書きとしての才能というか技量は確かに凄いと思います。
2016/06/10
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