早刷り岩次郎 (朝日文庫)
早刷り岩次郎 (朝日文庫) / 感想・レビュー
ともくん
早刷り瓦版。 江戸初の速報性を求めた瓦版。 世にまだ出ていない、本邦初の事業に手を出す時は、産みの苦しみが付いてくる。 しかし、世に認められた時の達成感は、苦しみ抜いた者にしか味わえない特権ではないだろうか。 その快感を思えば、苦しみにも耐え抜けるような気がする。
2021/08/12
シュラフ
山本一力さん33冊目。少し飽きたかなと思っていたが、やはり物語の構成力に圧倒されて夢中で読んでしまった。物語は、安政の大地震の後の江戸の街における早刷りの話。前半部分は早刷りの刊行に向けての話が続きやや退屈感がある。だが、後半部分になると、岩次郎の早刷りを妨害しようとする同業者の動き、早刷りの人気に目をつけた公儀による金貨の広目、などスピーディーな展開となり目が離せなくなる。公儀という政権の権力、大店という資本の権力、に対して、マスコミという力をもつ早刷り。早刷りとしての使命感をもつ岩次郎が格好いい。
2014/06/08
ドナルド@灯れ松明の火
山本一力得意の市井の職人もの。でも前振りが長すぎる。で、山場が遅すぎて、あっという間におしまい。おいおい、いつからページ稼ぎになったんだ?明治の新聞のはしりである「早刷り」を描いた着目はいいのだが、やっと軌道に乗ったがこれから色々あって、そして明治を迎えるまで書いてほしい。というか息切れかな?
2011/11/30
リュウジ
山本一力の小説にはいろんな働く人がでてくる。この小説は、早刷りというタイトルにもあるように瓦版屋さん。それも新興の、だ。この世の中にない瓦版屋をつくろう。この小説は、ニュービジネスモデルの成功物語。人を集め、組織し、育成し、ブランディングし、顧客をつくり、リピーターをこさえていく。さらに、上に立つ者のありかたとか、交渉術とか、いろいろと。まあ、いろいろ考えると、この小説はビジネス小説として読むのが正しいのかもしれない。山本一力氏の小説にしては、ちょっと人物描写が甘かった。
2013/04/27
rakim
一力さん作品としてはエンジンのかかりが遅かったし波乱万丈度の振幅が狭かったかな、と思いました。でも瓦版出版の面白さと江戸風景の風情はさすが。このテーマなら続きがあっても良さそうです。
2012/08/04
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