女中譚 (朝日文庫)
女中譚 (朝日文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
著者の代表作『小さいおうち』系統かと手に取ったが、いい意味で予想を裏切られた。なるほどー、昭和初期の世相を絡めて、当時活躍した3人の作家さんへのオマージュであったか。林芙美子以外は未読だったが、吉屋信子はぜひ読んでみたい。それにしても、「女中」というのはなんと物哀しい響きを含むことよ。
2019/02/15
ヴェネツィア
3つの短篇から構成される。それは、それぞれに林芙美子、吉屋信子、永井荷風へのトリビュートでもある。時代はそれらの作家たちが活躍した昭和10年代。2.26事件の前後である。いわば、日本が限りなく暗い時代へと傾斜してゆくまさにその時にあたるが、物語は限りない明るさのうちに語られる。千代が玉の井の遊郭に売られる「ヒモの手紙」においてさえそうである。あの暗い時代にあっても人々の気持ちはおそらく明るさを保っていたのだろう。もっとも、太宰は「明るさは滅びの姿であろうか」などと言うのだが。中島京子、相変わらず快調。
2022/02/10
KAZOO
「小さいおうち」に続く昔の「女中」が主人公の話です。ただこれは、林芙美子、吉屋信子、永井荷風のそれぞれの「女中」にからむ物語へのトリビュート小説になっています。昭和の世相を絡めて昔語りの話をうまく作り上げています。中島さんはいろいろなはなしを楽しませてくれてます。
2017/10/21
五右衛門
読了。先に読んだ作品の姉妹作との事で読み終わりました。昭和初期辺りのうっすら戦争の匂いが感じられイメージだけですが煙草の煙がくゆっており怠惰な時代背景が作品から受け取った印象です。しかし悪いやつがいたもんだ‼(ヒモの話)他の作品も読んでいきたいです。
2018/06/03
りょうこ
小さいおうちから中島京子さんが好きになったので..読んでみた!一応一応小さいおうちの姉妹編となってはいるが..小さいおうちとは雰囲気が違う。『スミ』さんの視点から連作短編。戦後の日本の混乱期に女性がどの様に生き残ったのか⁉︎を垣間見ることが出来たので短い本だったけど印象には残る作品です。
2016/07/21
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