あいさつは一仕事 (朝日文庫)
あいさつは一仕事 (朝日文庫) / 感想・レビュー
広瀬研究会
本作には丸谷さんと和田誠さんが尽力した毎日新聞の『今週の本棚』について良く触れられており、また、お二人の対談も収められている。僕も日曜だけ毎日新聞を買って『今週の本棚』に目を通すクチだから、お二方がもういないことは淋しいけれど、本文中の言葉を借りれば「天命だから仕方ない」ということになるのかな。これからも『今週の本棚』を応援していく。
2019/11/02
いっちー
「言葉の藝」だね。「賛辞」人を褒める、賞賛するっていうのは難しく、その文章としてとても参考になる。丸谷さん流スピーチ術…心得1原稿を作って準備する。心得2長すぎるのはダメ。心得3余計な前置きを入れるな。心得4引用は1つにせよ。心得5面白い話を入れろ。心得6ゴシップを有効に使え。心得7悪口を言うなら対策を考えておけ。とにかく…人を喜ばせようという気持ちが大切!
2013/12/06
ダイキ
「わたしの生家にはマルクシズム関係書がかなりあつた。中学生のわたしがこれらの国禁の書に夢中になつたことは言ふまでもない。わたしを一番興奮させたのは岩波文庫の『ドイッチェ・イデオロギー』であつた。一番げんなりさせたのは改造文庫のディツゲン『マルキシズム認識論』であつた。新カントの認識論に入れあげてゐる少年にとつて、唯物論的認識論はあまりに素朴だつた。」(『辛い思ひ出を語らなかつた男』)
2023/05/06
ルミナス
あいさつの名人によるあいさつ傑作選のような本。 やはり、原稿を用意するべきなんだなと痛感。 やや言葉が古いけど読みやすい。 もう故人のようでもっと早く知っていればと残念な気持ち。 機会があれば小説も読んでみようと思う。
2019/03/15
猿田康二
「日本語で大事なもの」や「千年紀のベスト100作品を選ぶ」の対談集や、松岡正剛「千夜千冊」で「新々百人一首」は僕がしたかった事と言わせたり、米原万里の書評集「打ちのめされるようなすごい本」では彼の作品「笹まくら」が大絶賛されている事からただの小説家ではないな、とは思っていた。改めてこの挨拶集を読むと氏の多彩な才覚と博識、文学の世界だけでない人脈の広さを感じ、ご自分で語るご自身の年譜のようであった。それでいて読者のための挨拶への参考書としても役に立つのだから一石二鳥の読書となった。
2017/11/16
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