平成猿蟹合戦図 (朝日文庫)
平成猿蟹合戦図 (朝日文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
【私的神作家のひとりなので、レビュー甘々注意】これだけ騒がしいキャラがワサワサ出てきて、展開もクルクルしちゃうのに、筋が一本通ってて、決して読者を飽きさせない筆致力。正直途中まで、ちょっとこれ奥田英朗っち?それとも伊坂っち?的なところもあったんだけど、ラストはやっぱり吉田修一さまであった。サワおばあちゃん最高、秋田弁カッケー、吉田修一さまは天才\(^o^)/
2017/09/04
hiro
読み出して直ぐに、夫を探しに長崎・福江島から上京した子連れのホステス美月の話から、どうして元歌舞伎町のバーテン純平が秋田から衆院選に立候補する話に繋がるか不思議だった。主要な登場人物も、世界的チェリスト湊、そのマネージャー夕子、美月の夫でホストの朋夫、韓国クラブのママ美姫、湊の代わりで罪を被った兄の娘友香、九十歳を超えて一人で秋田・大館に住むサワなど多い。最初はまったく予想もできないけれど、この登場人物たちと、そこで起こる事件が、パズルのピースのようにみごとに埋まっていった。WOWOWのドラマも楽しみだ。
2014/05/18
yoshida
序盤の暗さからは想像もつかぬ展開。後半は盛り上がり一気呵成に読ませます。五島列島出身の美月と朋生の夫婦。夫婦には幼子の瑛太がいる。朋生は博多から歌舞伎町に流れる。連絡のつかない朋生。歌舞伎町まで探しに来た美月達に声を掛けた純平。そこから物語は動いていく。純平の周りに集まる人々がみんな良い人。飾らぬ純平と接して、周りの人々が己れの良心に目覚めていくとも言える。現実はなかなか上手く行かない。読者もそれは分かるはず。だが、暗雲を晴らすように進む物語。その展開の妙、晴れやかさが読者の共感を生むだろう。爽快な作品。
2020/08/25
じいじ
吉田小説20作目にして初体験の感触です。これまで読んだ作品にはなかった、吉田修一さんらしからぬエンタメ色に満ち溢れた感動長編で、面白かったです。
2021/04/28
s-kozy
猿蟹合戦は日本の昔話です。ずる賢い猿が蟹を騙して殺し、殺された蟹の子ども達に仕返しされるという話でしたね。本書はその有名な昔話のフォーマットを吉田修一が平成日本に持ち込んで作ったお話。500ページ超と長いが、さすがにうまい、面白く読めました。「誰が猿かな?誰が蟹かな?」とワクワクし、「お前が猿か」と腑に落ち、「あなたが蟹だったんだ」と驚かされ、著者の術中にはまった感じもよかったです。「こんなにうまくことが進むわけがない?」いいんです、これはお伽話なんだから。
2015/04/01
感想・レビューをもっと見る