八番筋カウンシル (朝日文庫)
八番筋カウンシル (朝日文庫) / 感想・レビュー
dr2006
人生の岐路で瞼の裏で美しくあり続けるものは尊い。前に進むしかないと背中を押すからだ。主人公タケヤスは30目前で仕事を辞めた。人が気怠く歩く物憂さな商店街の近くに巨大モールが建設されるという。彼の親世代が仕切る青年団”カウンシル”は賛成反対で揺れ動き、時間を浪費していく。社会派ストーリーだけど、タケヤスの心情を通して行間に配された比喩が巧みで情景が浮かぶ。映画向きの人間ドラマだと思う。憎からず思い遣る人が沢山いることは悪い事ではない。そんなタケヤスの憂いが解消せず団円でもないところが本作の素晴しさだと思う。
2021/04/03
Rin
昔ながらの商店街。そのいい部分とちょっと生活がし難いな、と感じる部分とがしっかりと混ざり合っている。ただ、個人的には今まで読んだ津村作品と比べると物語の中に入り込めないままの読了だった。ある意味、閉鎖された空間であり世界でもある商店街。主人公も決して応援したくなるような人物ではなくて、弱さも共感できない部分もあって、それでも周囲の人々と折り合いをつけて生活をしていかなければならない。大人たちの身勝手さや、ご都合主義にイライラもしたけれど、最後はちょっぴりスカッとできたのがよかったです。
2016/10/07
choco
初読み作家さん。駅前の小さな商店街に暮らす人達の話。地元。色々あるけど、自分が大人になったら許せる事もある。ダメな大人の気持ちもわかることもある。横の繋がりが希薄になっている今に、欠けている大切なものが、この小説には詰まってるような気がする。他の本も読んでみたい。
2016/04/28
らむり
どっしりした感じ。「カソウスキ〜」や「アレグリア〜」とかはすごく良かったけど、これは私には合わないかな。解説は芸人の小籔さん。
2014/06/06
エドワード
ホント今の日本の小売業は大変だ。古い商店街のそばに大型ショッピングモールが計画されている、と聞いて、さてどうするという話。商店街の古手でなく、青年部<カウンシル>が主役な点がミソだ。正直なところ、三十代って商店街でモノ買うか?消費者の立場と小売業の立場に引き裂かれ、儲かる儲からないで右往左往する青年部がシビアかつリアルである。店の後継者たちの、小学生から高校生時代のイロイロあり過ぎな青春がプレイバックされて、街への愛憎入り混じる想いが交差する構成が見事だ。津村サンは若者のユウウツを描くのが抜群に上手いね。
2016/05/17
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