増補版 村上春樹はくせになる (朝日文庫)
増補版 村上春樹はくせになる (朝日文庫) / 感想・レビュー
佐島楓
この本を読むと、村上春樹という作家の特異性がよくわかる。繰り返されるメタファーの裏にあるものはいったい何なのか。それは村上春樹そのひとなのではないだろうか。作品を文章で批評する難しさも改めて感じた。
2015/11/20
Carlyuke
家にあった有隣堂のブルーのカバーの文庫本の表紙を確かめるとこの本だった。途中まで読んでいて, そのまま未読になっていた。改めて最初から読み出したが面白かったし, 村上春樹について気づかなかったことを気づかせられた。「アンダーグラウンド」,「約束された場所で」が村上のターニングポイントだった。毎回の作品で文体や方法を変え, 実験をしている。常に変化しようとしている。海外の読者を意識している。 自分が村上作品を読むときにはストーリーに集中するのが中心なので, この種の本を読んで初めて気づくことも多い。
2018/09/18
おさむ
喪失、パラレルワールド、エディプスコンプレックス、ユング心理学の影響……村上春樹の底流を踏まえつつ、主要作品をとても真面目に分析解説しています。阪神大震災とオウム事件があった1995年が、ターニングポイントという見方は正しいですね。
2015/11/12
Monsieur M.
すでに四半世紀以上(!)にわたり、村上春樹の小説はほぼすべて読んできた。でも、作品の中に散りばめられる多くの謎について、自分なりにでも読み解くことはせず(できず)、「よく分からなかったけど、面白かったなあ」で済ませてしまってきた。そんな村上春樹の作品が、少しは分かるようになることを期待して、本書を手に取ってみた。少なからず、気付くことや新たな視点のようなものを、得られたと思う。また、村上春樹の作品を、読み返してみたくなった。
2016/08/13
t-bone
小説を読み終える、とはどういうことか。自分では「読み終えた」と思い、誰かに内容や感想を尋ねられると一定のことを話すこともできる。しかし、果たしてそれで読み終えたと言えるのか。本書を読み終えた今、村上春樹の著書をもう一度読み直さなければ、という思いが頭の中に充満している。そうした後、きっと本書も再読するのだろう。
2015/09/23
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