クラウドクラスターを愛する方法 (朝日文庫)
クラウドクラスターを愛する方法 (朝日文庫) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
再度でしたが、ほとんど話を忘れてました。前回の読んだトキの自分のレビューでは「窪さんらしくない」みたいなコトを書いてましたが、改めて読み直すとちゃんと窪さんらしさは表れています。やっぱり読むタイミングや読み込みって大切なんですね。2編の短編からなる本作ですが、やはり表題作が絶品です。主人公の母親の姉(伯母)達が本当に個性的で、こういう生き方、考え方ってきっと女性にしかわからないし、伝わらないんだろうなと感じました。ちょっとクセのある主人公を優しく、距離を考えながら接する「向井」君が本当にナイスガイです。
2018/04/22
新地学@児童書病発動中
家族を主題にした2つの小説。どちらの小説にもやりきれなさと悲しみがある。人間である以上家族のことを完全に断ち切って生きるのは難しい。やり切れなさはそこから来る。表題作はイラストレーターとして自立して生きようとする女性が主人公。少女の時に家を出ていった母親との関係がぎくしゃくしている。主人公は仕事と家族の悩みに押し潰されそうになったりする。それでも、もがきながら懸命に生きていると、かすかな光が見えてくる。その瞬間が好きだ。救いは求めて得られるものではなくて、生きること自体が救いなのかもしれない。
2018/06/06
masa
ひょうきん者の友人が家族の前で「ちゅーぺってぃんぐ」と口にし、アイスより空気が凍ったと聞いた。僕も家族の前で「びっくりとりす」と口にしてしまい、何よりその事実にビックリしたことがある。いつからか家族は、最も気の抜けない存在になった。何故、誰もが家族を演じ続けるのだろう。大好きな人にも自分の荷の重さや意味なんて正しくは伝えきれなくて、例え頭ではそれを理解できていても、誰かと比較され軽んじられるのは辛い。だから激しく吐き出してよ。青空の前触れだと信じてクラウドクラスターを愛するように、僕はそれを受け止めるよ。
2018/03/19
えりこんぐ
自分の母親をうまく愛せない..幼い頃の傷は30歳を前にしても消化できない。さとこは優しすぎるのかな?どんな理由があったにしろ、子供を置いて出て行ったのは責められても当然な気がする。今回の窪さんは合わなかったかな。やっぱり長編が好き。
2018/10/19
hit4papa
家族を捨てて13歳下の男と結婚生活を営む母。三十のバースデーを迎えた娘 紗登子は、14年振りに再会してから複雑な思いを抱えたままです。カレシとのゴタつきもあって、つい強い口調で母にあたってしまいます。クラウドスター=積乱雲は、太ってモコモコな母の姿を表していて、このタイトルは秀逸です。さて、紗登子は、クラウドスターを愛せるのか?収録作「キャッチアンドリリース」は、離婚家庭の男女中学生の思いがつづられた作品です。世間でよく見られる、ちょっとしたやるせない感のある物語。メソメソしていない分、リアルを感じます。
2019/08/07
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