黒警 (朝日文庫)
黒警 (朝日文庫) / 感想・レビュー
しんたろー
警部補・沢渡とヤクザ・波多野の「バディもの?」と思って読み始めたが、意外な展開に驚くし、月村さんには珍しい「ダメな主人公」なのが新鮮に感じた。やる気なく能力にも疑問符が付く主人公なので、肩入れ出来ないタイプなのだが、途中から中国人犯罪組織のボス・沈と組むようになってからが面白い…日本の暗部である不法入国や人身売買を身近に感じさせる怖さも入れ込んでテンポ好く進むサスペンスと終盤の仕掛けは楽しめた。沢渡の心境変化を丁寧に描いていないので共感度が薄いのが残念だが、沈の魅力で補っているとも言える。続編も読みたい♬
2019/10/08
えみ
こんな黒さなら染まってみてもいい。突然目の前に突き付けられた事実で反転する展開に、少なからず衝撃を受けた。日向の中で陰となり、陰の中で日向となる。正義も悪もそこにはなくて、ただ底知れぬ欲と思惑だけが渦巻き、上品に食うか獣のように貪るかのどちらかしかない。どのみち喰われた者が残すのは骨だけだ。うらぶれた刑事が出会ってしまった2人の裏社会に生きる男。彼らによって道徳を奪われ平凡を失った。しかし社会とは関係ない、自分の使命、理想、覇気が胸の内にあったことを思い出していく。期待して読んでも期待を裏切らない一冊!
2022/10/05
巨峰
割と予想外の展開になってこれからどうなるのとおもったけど、着地点は良かったと思う。ページ数は少ないけど、内容には必要で十分。これ以上水増ししたら、水ぶくれになる。ジャストサイズ
2020/12/31
ナミのママ
【再読】続編が出で、こちらが文庫化されたので再読。中国がらみのブラックが好きなので、もう少しドロドロ黒いと嬉しいのですが、さらっと読める警察モノです。バイオレンス部分も、この後の作品に比べると軽めに思います。まさか続編が出るとは思わなかった、というのが正直な感想です。警察作品の主人公には色々なタイプがいますが、冴えなくて、抜け目なくて、正義だけでなくて人間臭いこの主人公は面白いです。月村さんの作品に出てくる人物は弱みの部分が魅力ですね。
2016/10/13
keiトモニ
東山彰良氏解説“体がカッカッと燃え上がるような生き様はどこからやってくるのか?沢渡の生き様はそんなことを問いかけてくる”だって。でも私は、立場を利用してリサイクル店を脅して書類送検された丸亀警察署のアホ警部補同様、沢渡警部補の独白の“正義感などはなく公僕としての自覚もない自分には、その年月は無為としか呼べないものだ”と己を表現に感服じゃ。だから上司の小渕係長も“今日ぐらいは蕎麦や饂飩じゃなくて天丼にしとけ…小渕さんの奢りですか?…小渕は一瞬えっという表情で、そうだよ任せとけ”などとケチ・アホの見本を露呈。
2022/06/04
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