ひとかどの父へ (朝日文庫)
ひとかどの父へ (朝日文庫) / 感想・レビュー
みなみ
Kindle Unlimited に入っていたので……実業家の母を持つ朋美。父が在日朝鮮人だったことがわかり、朋美は母と父を嫌悪する。過去が交錯して明かされていく家族の物語。父と母の出会いとは。行方不明の父の正体は?母の清子とうまくいかない朋美。朋美の内面は差別意識が非常に強い。生まれの複雑さはあるが全然いい人ではない。主人公というと差別に負けずがんばっているみたいなパターンがあるが、それは友人のユリで、主人公はユリにも嫉妬と差別意識を持っている。でもこの生々しさこそが真実味を加えているのだろう。
2023/12/03
二人娘の父
深沢さんの作品は3冊目。一貫して在日韓国人がテーマだ。しかしその描き方には変化もあるのかと感じた作品でもある。多分、新作からさかのぼって読んでいるので、そうした変化を感じるのかもしれない。本作は私の出身地である、川崎区もたくさん登場する。常に私のそばにいた彼ら/彼女らのことを思い出しながら読んだ。
2022/05/13
平坂裕子
「ミアネ、クレド、サランへ」この言葉が包み込む愛情の深さに、胸が締め付けられた。最期にどうしてと娘だと名乗れなかった朋美、ゴーフル缶ふたつ大切にして欲しい。
2018/07/28
yurara
生まれ落ちた環境がその後の人生に与える影響の大きさと、韓国人に対するひどい差別が1960年頃でさえあったことを突きつけられた気がする。世の中にある差別で自分で自覚できていないことはいろいろあるのだろうと思わされた。
2022/06/14
mustache
深沢潮作品の三冊目。ぐんぐん引き込まれた。文世光事件と引っ掛けて、主人公朋子の父が失踪した背景が明かされる。朋子が整形手術の予約をしながら、思いとどまるエピソードがなかなか効いている。著者にとって韓国の血筋を引く意味がいかに大きいかを、『緑と赤』『海を抱いて月に眠る』そして本作を読んで感じる。
2019/10/18
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