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坂の途中の家 (朝日文庫)

坂の途中の家 (朝日文庫)

坂の途中の家 (朝日文庫)

作家
角田光代
出版社
朝日新聞出版
発売日
2018-12-07
ISBN
9784022649089
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坂の途中の家 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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のり

幼児虐待死事件の裁判員になった「里沙子」も幼い子を持つ身。子育ての多忙・苦難は自身に置き換えても経験中。周りの人の言動にも過剰に反応し殻に閉じ籠る。状況によって同じ言葉や接し方も、別の捉え方をする時がある。誰にも頼れない苦しさは想像を絶する。被告人の真意は何処に…本作は性別を問わず訴えてくる。思い当たる事も多々ある。このような痛ましい事件は本当に辛い。

2020/02/25

エドワード

日本は、何と子供を育てにくい国なのだろう。イクメンと言う言葉が流行るのは、仕事に囚われ育児をしない父親が圧倒的に多いことの裏返しだ。古い価値観に固執する両親の圧力、夫婦間の微妙な力関係、母親を孤独に追いやる要素ばかりだ。二歳の娘を持つ専業主婦の理沙子が、幼女を風呂で溺死させた若い母親の裁判の補充裁判員に選ばれた。公判の度に、娘を義父母に預けて出席する理沙子は、微細にわたり進められる審理の中で、次第に被告に自分を重ねていく。<私も同じ経験をした。>理沙子の心の描写が迫力満点、これも家族の姿。希望のある終幕。

2018/12/29

JKD

自分が我慢していることに誰も気づいてくれない苛立ち。自分は間違ってないことをしているつもりなのに周囲から間違っていると思われてしまう嫌な感覚。みんなは一般的な立場で物事を言っているのに、実際はそんな思うようにいかないといった当事者にしかわからないことが相手に伝わらないという苛立ち。真面目さゆえの気張りすぎ、考えすぎ、気にしすぎが負のスパイラルを増幅させていく。日常会話での些細なズレが不安あるいは不快になるという微妙な感覚がヒシヒシ伝わりました。

2018/12/30

nanako

久しぶりにつらい、苦しい読書でした。最初は中々頁をめくる手が進まず、途中で読むことをやめようか…とも思いましたが、どうしても結末が知りたくて、最後まで読み通しました。言いたいであろうことは、よくわかるんです。でも、最後まで読み通しても、最初の「つらい、苦しい」という印象が変わることはありませんでした。

2020/06/14

ネギっ子gen

良書。乳幼児の虐待死事件を題材にした小説だが、直接虐待を描くのではなく、裁判員制度という設定を設けたことが、本作を豊かなものに(それも補助裁判員!)。それにしても、角田さんは洒脱だと改めて思う。帯に<感情移入度100%>とあるが、その謳い文句に偽りなし。感服した。子どもの玩具の取り合いから始まった冒頭から、一気に引き付けられた。何気ない表現がいい。例えば、38頁。<裁判所からの帰り道、里沙子は思い出していた。ひとつ思い出すと、忘れていたことが数珠つなぎ的に思い出された>と、主人公の母乳育児の辛さを描く。⇒

2020/01/19

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