メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション (朝日文庫)
メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション (朝日文庫) / 感想・レビュー
hit4papa
著者らの共通点は言うに及ばずですが、作品のトーンとしてはちょっと切ない系です。「山羊座の友人」いじめの加害者を殺してしまった同級生との逃避行。高校生二人に芽生えた友情と、その背景の残酷な真実を、不思議体験と絡めるあたりが上手いですね。「トランシーバー」3.11で妻子を失った男は、いつしかおもちゃのトランシーバーから聞こえる幼い息子の声に耳を傾けるようにります。切なさ満開!「エヴァ・マリー・クロス」【人体楽器】を追うジャーナリスト。アメリカンテイストのグロテスクさ極まった黒さ(!)が素晴らしいです。
2023/12/12
アッシュ姉
遊び心のある贅沢ひとりアンソロジー。中田さんと越前さんは初めまして。作風の違いはもちろんあるが、作者当てクイズには正解できそうにない。まだまだ修行が足りぬ。どれも乙一らしさが感じられ、白黒両方堪能できて面白かった。「メアリー・スーを殺して(中田)」「トランシーバー(山白)」「山羊座の友人(乙一)」が特にお気に入り。
2019/04/18
アッシュ姉
再読。どの名義も甲乙つけがたい面白さで印象深いアンソロジー。中田さんの「メアリー・スーを殺して」はタイトルが絶品で表題作にふさわしい。山白さんの「トランシーバー」は何度読んでも涙ぐんでしまう。「エヴァ・マリー・クロス」の越前さんは他作品も読んでみたい。
2023/09/14
masa
生きていてもつまらなくて、だからって「なぜ生まれてしまったのか」なんて考えてしまう日々に自己嫌悪してた。変身願望すらも抱けずに、ご都合主義な妄想に溺れては、冴えない僕の身代わりメアリー・スーを憎んでた。消えてメアリー。のたうち回り呼吸を繰り返すことで、どうにか世界と折り合えはじめたつもりだ。でもあの日の少年を忘れたら自分でいられなくなりそうさ。消えないでメアリー。なあ?メアリー?君の代わりなどどこにもいない。だが君の役はきっと誰かが埋める。君を思い出すために、僕は物語の行間を余白をいつまでも大切に護るよ。
2021/11/20
佐島楓
少年少女のふわっとしたところと、ピリピリするような緊張感の同居が面白い。複数の筆名を使い分ける作家は過去も多くいたが、この方はどういう狙いでやってらっしゃるのか、伺ってみたい気もする。
2019/01/20
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