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夜の声を聴く (朝日文庫)

夜の声を聴く (朝日文庫)

夜の声を聴く (朝日文庫)

作家
宇佐美まこと
出版社
朝日新聞出版
発売日
2020-09-07
ISBN
9784022649652
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夜の声を聴く (朝日文庫) / 感想・レビュー

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しんたろー

主人公・隆太が定時制高校で出会った同級生・大吾と共に、数々の事件に向き合う連作形式の物語は、11年前に起こった一家惨殺事件に繋がる…著者が陥り易い「盛り込み過ぎて消化不良」になるのを心配したが、巧く構成されていて杞憂に終わった。登場人物の多くが哀しい過去を背負っているので暗い雰囲気ではあるが、瑞々しい青春ものの一面もあって、絶妙なバランスの内容になっていると思えた。隆太が脆弱な理由も最後には納得できたし、大吾の健気さを応援できた。結末も宇佐美さんしては爽やかで『ポニン浄土』に続いて秀作を産み出したと思う。

2020/10/20

いつでも母さん

夜の底から聴こえる声とは・・はぁ~そうでしたか。そこだったかぁって感じ。長い長い葛藤にやっと終焉を迎えたことにホッとするのは私だけじゃないはず。16年前のたった1年間に僕・隆太にあったことは、ここの登場人物が抱えていた全ての『重し』を解放する。真実・・それは友・大吾に起きた11年前の事件だけじゃなく、哀れな男の一生を明らかにしたことでもあったのだ。帯に煽られて読み始めるも、終始不穏な空気感が漂い先が気になって急ぐ読書になった。今回、宇佐美まことの描く『再生』を読まされて嬉しい感じ。

2020/09/08

ウッディ

目の前でリストカットした女性に惹かれて定時制高校に通うことになった引きこもりの隆太。クラスメイトの大吾が働くリサイクルショップに入り浸り、持ち込まれる相談事を解決し、やがて数年前の一家殺人事件に関わることになる。死の雰囲気が充満した前半の暗さで、読み進めるのが苦痛だったが、事件の真相が明らかになり、大吾との友情と学ぶことの大切さを知り前向きに生きようとする後半は大きく印象が違う物語でした。大切なものを得た一年間を描き、意外と爽やかな結末に、リストカットの話は必要だったのかという疑問はも残りました。

2021/04/11

ナルピーチ

坦々と進む物語だが、隆太と出逢っていく人々により点と点が繋がって行くように連鎖し、やがて過去に起きた大きな未解決事件へと結びつく。大吾と共に【便利屋】で請け負う仕事が全て伏線で、そう繋がっていくのかぁ。と、読みながら次の展開が気になってしょうがない。隆太も仕事をこなしていく度に精神的な強さを身につけていく感じがとても良い。ストーリーも序盤の印象と後半の印象ではかなり違った感覚をもてる作品。ラストも希望に溢れた終わり方で良かった。

2022/01/10

シナモン

「よろず相談事」も受け付けるリサイクルショップ「月世界」。持ち込まれる相談事の一つ一つが丁寧に描かれ、その背景、トリックになるほどな~と唸る。そんな物語が続いていくと思ったら、それぞれが繋がって忘れられていた過去の大きな事件が動き出す。作り込まれた複雑な伏線にゾクゾクしました。一方で引きこもり生活を送っていた主人公が「月世界」と関わるうちに社会性を身につけていく様は爽やか。そのアンバランスさが何とも言えない一冊でした。

2021/04/21

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