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国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)

国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)

国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)

作家
吉田修一
出版社
朝日新聞出版
発売日
2021-09-07
ISBN
9784022650092
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国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) / 感想・レビュー

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ちゃちゃ

あぁ、遂に読み終えてしまった。歌舞伎の世界に魅入られた男の数奇な人生。その儚さや孤高の境涯に胸が潰れそうになる。白塗りの化粧に絢爛な衣装をつけて、一途に精進してきた喜久雄が到達した先には…。虚実が溶け合ったあわいの夢幻の世界。それを狂気と言うべきか、選ばれし者だけが見る至高の境地と言うべきか。激動の上巻青春篇とは趣を異にし、下巻花道篇は清濁合わせた人生を芸道に昇華させた喜久雄の「完璧を超えた完璧な芸」を描いて秀逸。決して幕の降りぬ忘我の世界へと踏み出した、稀代の女形三代目花井半二郎に「あっぱれ」を。

2021/09/18

rico

大団円、なのでしょうか。極道の家に生まれ、何者かに導かれて歌舞伎の世界に飛び込み、過酷な運命に翻弄されつつもそれすら糧として、ただただ己の芸を極めることに全てを捧げた喜久雄がたどり着いた場所。彼は人であることをやめてしまった。純化された「女形」として立っている美しき舞台から、決して降りてくることはないのです。「天晴れ!」の声をかけましょうか。彼の人生を彩った多彩な人々も素晴らしい。幼馴染に師匠、盟友。俊介は多分もう1人の喜久雄だった。そして女たちのしなやかな強さ。改めて、この物語の全てに「天晴れ!」を。

2023/01/12

タツ フカガワ

温泉地を巡る芝居一座にいた俊介が10年ぶりに歌舞伎の世界に戻ってくると、それまで不遇を託っていた喜久雄とともにじわじわと頭角を現してくる。役者の業とでもいうのだろうか、二人の芝居へ懸ける執念が凄まじい。両足を失いながらそれでも舞台に立とうとする俊介の執念に圧倒される第17章「五代目花井白虎」。対して喜久雄が一種狂気を帯びた孤高の境地へと昇っていく終章「国宝」と、胸のなかを搔き回されるような小説、久びさでした。すごいな、吉田修一。

2024/01/15

サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥

歌舞伎役者の一代記。任侠の世界に生まれ育ちながら、ある事件をきっかけに梨園の世界で生きることになった喜久雄。血筋が尊ばれるこの世界で芸一筋に生きていく苦悩。幾多の苦難を乗り越えて完璧を超えた完璧な芸を目指す役者の姿。吉田さんは純文学から大衆文学まで幅広く、引き出しの多い作家だと思っていたが、歌舞伎に賭けた一人の役者を見事に描いたこの作品で、また一つ新たな境地を開いたのではないか。★★★★

2021/10/09

mike

再読。昭和という時代の奔流に何度も飲まれそうになりながら、芸の道一筋に生きた男の美しい生き様に、感動で心が打ち震える。来年の流星さんの映画公開に向けて、ただおさらいするつもりだった。しかし、こうして読み直してみると、ふと不安もよぎる。これほどの圧巻の原作を2時間程度の尺にどうやって収めるんだ?「流浪」を撮った監督さんだから間違いないとは思うんだけど。ワクワク期待が9割、そしてほんのちょっとの怖さ。でもやっぱ待ち遠しい💕

2024/06/17

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