ホラー・ミステリーアンソロジー 『魍魎回廊』 (朝日文庫)
ホラー・ミステリーアンソロジー 『魍魎回廊』 (朝日文庫) / 感想・レビュー
ちょろこ
満足感得られた一冊。再読のものもあれど、どれも満足感を得られた七人が紡ぐアンソロジー。宇佐美さんの「水族」から、雨繋がりのような流れの小野不由美さんの「雨の鈴」は再読でも楽しめた。しっとり匂いたつような湿度の中、響く鈴の音がたまらなくゾクゾクさせて、たまらなくもの哀しさへと落とし込んでくるのが良かったな。高橋克彦さんもラストまでゾクリとさせて、改めてホラーの名手だと感じた。初読みの都筑さんは読みやすく、怪異も楽しめて満足。そして道尾さん。せつなさと怪異のバランスが絶妙。構成も良い。トリにふさわしい読後感。
2022/05/23
タイ子
日本の怪異噺はじっとりとしているだけに不気味、だけどどこか哀しみや人の生き様が見えて面白い。いや、怖い。小野さんの「雨の鈴」は再読。道尾さんの懐かしいホラー作品は初期の頃だけど、この頃のホラー感覚作品は好きだなぁ。ホラー作品に鬼は分かるけど、達磨って題材になるんだなと感心。満願成就を込めるだけにその思いが違う意味で宿ると思えばホラーの題材にもなるのか。。。宇佐美さんの「水族」はラストで見せた意外な真実とシロイルカの存在が妙に合っててさすがと言う感じ。7つの短編ミステリアンソロジー。
2022/06/04
ままこ
タイトルが秀逸。怪奇推理界の名手たちの個性が怪しく光るアンソロジー。宇佐美さん「水族」幻想的で切ない余韻が残る。小野さん「雨の鈴」と津原さん「カルキノス」は既読だが、やはり怖面白い。京極さんらしい「鬼一口」妄想の闇が深い。高橋さん「眠らない少女」現代から遡る怪奇民話の業。都筑さん「三つ目達磨」怪異トラベルミステリー。道尾さん「冬の鬼」刹那的で狂おしい愛情。巻末の解説も興味深く読みたくなった本もいくつかあった。
2022/07/24
aquamarine
好みの作家さんばかりで飛びついたが、書下ろしではないのでいくつかは既読。しかし、既読作品もものすごく印象的なお話だったり考え考え何度か読み返したものもあったので再読でもどれもとても良かった。じっくりゆっくり堪能。宇佐美さん(これは単行本未収録)の納得の読後。小野さんのその後への想い。京極さん、高橋さん、都筑さん…昔話や縁起物って実は怖い…。津原さんの猿渡と伯爵ににやにやしながら結末に呆然とする。道尾さんの手法の美しさには再読でもため息が出た。既読は小野さん津原さん道尾さん。他の未読の底本もぜひ読みたい。
2022/04/12
ひさか
小説すばる20年4月号宇佐美まこと:水族、幽vol.17(12年7月)小野不由美:雨の鈴、小説現代97年3月号京極夏彦:鬼一口、小説現代83年10月号高橋克彦:眠らない少女、月刊小説77年11月号都筑道夫:三つ目達磨、週刊小説98年8月21日号津原泰水:カルキノス、野生時代08年4月号道尾秀介:冬の鬼、の7編のアンソロジーを22年3月朝日文庫刊。いずれもよくできたホラーミステリ。千街さんの解説前半で語られるホラーとミステリーの作品は数編を読んでいるだけで後は知らないものばかりが登場。深いなぁと思いました。
2022/07/15
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