傲慢と善良 (朝日文庫)
傲慢と善良 (朝日文庫) / 感想・レビュー
馨
大人になってから出会った人の過去って意外と気にしないから、本当かどうかは考えてみたら怪しいものだ。真実の失踪がなければ架も知らないままだった。傲慢で善良だと思いこんでいる人々を辿り見える愛する人の思ってもみなかった一面。思い込み、決めつけ、プライド、偏見、自己愛、利己的で軽率な言動、本音。相手を思ってと見せかけ自分が可愛いだけとか、自分を守る方向に持っていく等、色んな場面で心当たりがあり痛いところを突かれました。架パートと真実パートで同じ場面も印象が違い、読了後架は好きになったけど真実は嫌いになりました。
2023/03/03
Apple
知らないうちに肥大していく自己愛が、恋愛を歪めていく怖さを感じました。架や真実が陥った「傲慢さ」はきっと誰もが犯しうるものだと思いました。人々があまり結婚しなくなったのは、自分自身にのみ関心を持つ人が増えたからかもしれないと思いました。物語の結末は、丸くおさまってよかったんじゃないかと思います。「傲慢さと善良さ」について、結婚相談員が語るところとか、架と真実の両方の視点を描いている点が説明的すぎると感じました。恋愛における傲慢さと善良さとは何が、読者が想像できる余地を設けてもいいのにと思いました
2022/12/25
イアン
★★★★★★☆☆☆☆婚活のリアルを生々しく描いた辻村深月の恋愛ミステリ。ストーカー被害を訴えていた婚約者・真実が失踪した。その鍵が彼女の過去にあると睨んだ架は、男性遍歴を追って彼女の故郷・群馬へ向かうが…。作中に幾度となく登場する「傲慢」と「善良」の文字。婚期を逃した男女をワゴンセールに喩える感性は、残酷ではあるが鋭い。中盤までほぼ会話のみで進行するため展開力は乏しいものの、一つの嘘が露見する辺りに最大の驚きがある。ミステリというよりは、恋愛小説としての心理戦やその先にあるカタルシスが胸を熱くさせる作品。
2023/02/01
エドワード
タイトルからジェイン・オースティンの結婚狂騒曲を連想する。18世紀イギリスの作品が喜劇なのに対し、現代日本の結婚と恋愛の混迷さがリアルだ。東京で生まれ育った優男・西澤架と、群馬で生まれ、小さな世界で育ってきた坂庭真実。婚活アプリで出会った二人の中の傲慢と善良が、オセロゲームの如く交互に現れる見事な構成。誰の中にも傲慢と善良がある。優位に立とうとする傲慢。素顔の善良。群馬で完結している真美の母の傲慢まで描かれるところが強烈だ。結婚仲介人・小野里夫人の金言「結婚がうまくいくのはビジョンのある人」が光るね。
2022/10/05
竹ピコ
色々と自分に当てはめて読んでしまいグサグサと来る作品でした。架、真実、その両親、姉等々、結局主な登場人物が全員傲慢と善良を秘めている。勿論読者である私も、そして作者ご自身も傲慢と善良に溢れているのではと。30年前に読んでいたら、もしかして人生変わったかもと思いつつ、その頃にはこの傲慢を受け入れられた自信もない。初めて読んだ作者さんでしたが、面白かった。と言うか考えさせられた。
2023/03/27
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