名称未設定ファイル (朝日文庫)
名称未設定ファイル (朝日文庫) / 感想・レビュー
カノコ
現代、あるいは未来に生きる人間たちの営みを、冷笑的に、そして解像度高く切り取った作品集。見開き1ページの掌篇から20ページ程度の短編まで、全17編を収録している。わずか数ページだけの文字の羅列(あえてそういう表現をする)に含まれた現代ネット社会への的確な風刺に、しみじみと驚嘆する。どこかで今日も行われている行為そのものの描写。『過程の医学』、『有名人』の毒っ気も良いし、美しく悲しく薄っすらこわい『ピクニック』も良い。意味があるのかないのか分からない表現ですら、噛み締めて解釈したくなる。また読み返したい。
2022/12/05
山田
ずっと読みたくて長らく絶版だった作品の文庫化。ようやく読めたぁ!そして期待通り面白い!前作の止まり出したら走らないとは打って変わってデジタル社会の小話。普段僕らが生きている世界でも、言葉にすると面白さとかニュアンスがごっそり抜け落ちる。でもこの作品は普段意識しないリアルが描かれている。…ということが解説に書かれているので、ぜひ解説もセットで読んで欲しい。おすすめ。
2022/11/10
碧海いお
衝動買いをした本。元々は2017年にキノブックスから発行をした本を文庫化したものだったらしい。 短編集。Twitterで見かけるようなIT関係の話題になるような話が中心になっている。 演出で名称未設定ファイルの_12が逆さまになっていましたが、2ちゃんねるを読んでいたのが00年代なので懐かしい。
2022/11/15
なつのおすすめあにめ
ネットで有名になりバズりも炎上も経験した「ダ・ヴィンチ・恐山」が「品田遊」としてネットを題材に執筆した小説。著者自身もネットの流行り廃りは自覚しており、単行本当時のネタは時代に追い越されていたり多少古びてはいるが、冷静にネットを観察しておりすごい。『過程の医学』『ピクニックの日』『クラムゲートの封は切られる』などのネットから離れた作品が面白かったので、ネットの人という縛りがない作品をもっと読みたいと思う。ネット縛りと見せかけて……な話『GIF FILE』やネットが当たり前の風景だが『最後の1日』の厭さよ。
2023/09/26
きょん
デジタル&ネット時代の星新一みたいだった。ただ、昭和の時代に描かれた未来や宇宙より、もっと身近で、息苦しいような、背筋が冷たくなるような 感触が、、、この時代から早く下りたくなるような ダークなショートショート。
2023/01/03
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