どろどろの聖書 (朝日新書)
どろどろの聖書 (朝日新書) / 感想・レビュー
アキ
「新約は旧約の中に秘められ、旧約は新約の中で解き明かされる」聖アウグスティヌス。本書の特徴はヨハネ、パウロなどの人名をジョン・ポールと英語表記も併記していることです。旧約・新約から51本の愛憎劇を紹介されており、旧約の愛憎劇は驚くほどの謀殺、凌辱、殺害の数々があり、人類最高の賢者ソロモン王でさえ、異国の美女たちの色香により異教の神々を崇拝するようになるとは。イエスの説いた新約の教えは、旧約を知ってから読むと更に深みが増します。ユダヤ民族とアラブ民族の祖先はアブラハムを父とした異母兄弟だったのですね。
2022/06/09
チャーリブ
清涼院流水さんの『どろどろのキリスト教』の前作。気になったのでざっと読んでみました。面白かったのは、やはり旧約聖書の部分で、紀元前2000年ごろ生きていたアブラハムという一人の男性から始まるユダヤ民族の歴史は(どこまでが史実かは分かりませんが)物語として読んでも興味深いです。確かに「どろどろ」の愛憎劇の連続ですが、その「どろどろ」が宿命のように「どろどろのキリスト教」へとつながっていったのではないでしょうか。登場人物が多すぎるので、作者が作ってくれた「人物相関図」が重宝しました。
2022/12/31
Francis
猫町俱楽部の旧約聖書読書会に参加しているのでもしかしたら参考になるかな、と思って購入。旧約聖書、そして新約聖書の人間の愛憎劇がこれでもか、これでもか、と展開されている。聖なる書物なのになぜここまでどろどろの愛憎劇を容赦なく書いたのか。それはもちろんユダヤ・キリスト・イスラム教が「人間はどうしようもなく弱い存在」であることを前提にしているから。人間はどうしようもなく弱いからこそ神様が必要だったり、お互いに助け合わないといけないわけで、それを分からせるために愛憎劇を書いたのだろうと言う事が分かる。
2021/12/08
Francis
猫町倶楽部のスピンオフ読書会で課題本になったのでもう一度読んだ。2日で読了。旧約聖書、新約聖書福音書のどろどろの人間関係を見事にまとめている。聖書の解説本としても優れている。人名・地名の英語名を全て載せているのはやり過ぎ感はしないでもない。しかしこれでディケンズの小説「デヴィッド・コパフィールド」の悪役で恋敵役のユライア・ヒーブの名前がダビデ王が横恋慕したバトシェバの元夫ウリヤの英語名から取られおり、小説自体もサムエル記のメタファーになっていることが分かったりするからまあ良しとしよう。
2022/03/27
チサエ
かなりおもしろかったです!普段から聖書ひらいてるけど、ほんとどろどろ多いからー。これは聖書に馴染みがない人でも普通に楽しめるんじゃないかな、オススメ。
2023/01/06
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