名著入門 日本近代文学50選 (朝日新書)
名著入門 日本近代文学50選 (朝日新書) / 感想・レビュー
ねこ
明治、大正、昭和の時代の日本名著が50書それぞれ4ページに作家の生き様や時代の趨勢、書籍の抜粋や書評、著者平田オリザ氏の感想などで纏められています。この頃の作家さんたちは短命な方がとても多い。病や自死などで50歳以上までご存命だった方は半数も居ない。感性が強すぎて身体を顧みない生活がそうさせたのか?正岡子規「病牀六尺」、島崎藤村「破戒」、石川啄木「一握りの砂」が読んでみたくなりました。特に啄木。肺結核にて死去。享年26歳。はたらけど、はたらけど、なほわが生活(くらし)楽にならざり、ぢつと手を見る…切ないっ
2023/06/09
アキ
本書の内容は、一読では汲み尽くせないほど深く、斬新に感じられた。言行一致の文学が日本に生まれ、わずか百数十年しか経っていない。その間に現在に至る近代文学の代表作を50作品取り上げて、劇作家ならではの小説の文体、登場人物の心理描写のみならず、日本のその時々の社会情勢が反映されている考察が鋭い。19世紀末から昭和にかけての名作として名前は知っていても50作品のうち、既読はわずか11作品のみ。日本近代小説の系譜を意識しつつ、残りの幾つかの作品を読んでみたい。現代に通じる文学の源流が感じられることを期待して。
2023/02/07
ころこ
全てがつながっているのは、一読して明らかだ。近代文学を読む意義は、文学史を近代史と読み替えることに見出せるだろう。日本の近代文学史の意義は言文一致にある。富国強兵のためには国内における言語の一致が必要だ。それに近代文学は貢献した。また、西洋近代の生活をするためには近代的内面を身に着ける必要があった。「現代口語演劇」の著者はこの観点を見逃さない。「日本文学の初期、ロマン主義か自然主義かの対立があった。尾崎紅葉、泉鏡花の路線は、美文調で美しいが社会性に欠けるきらいがあった。田山花袋に象徴される自然主義は、やが
2022/12/30
Aster
今年1冊目、本を読むこと自体相当久しぶりだったけど、スラスラ読めてしまった。以前みたいに本を読む生活を送るため最初の一歩…。近代文学の歴史って割と浅い。追いつけそうな気がする。でも原文一致体以前は読みにくそ〜
2023/01/03
KEI
明治、大正、昭和と辿りながら日本の文学はどの様に変わっていったのか、いかにして日本語の文学は成立したのかが、50作品を紹介しながら分かりやすく解説されていた。19世紀末に産声をあげた日本の文学は1900年代にほぼ完成し、大正期には円熟の時を迎えた。その後、2度の大戦は文学を大きく変える。プロレタリア文学、戦争を鼓舞したり、推理小説、私小説、ノンフィクションと戦後に大きく花開いていく。残念なのは紹介された50作品のうち19しか読んでいなかった事だ。先ずは「苦海浄土」から読みたい。
2023/06/24
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