闇の守り人 (偕成社ワンダーランド)
闇の守り人 (偕成社ワンダーランド) / 感想・レビュー
ちはや@灯れ松明の火
優しさと厳しさと、底知れぬ哀しみを湛えた面影。天賦の才を謳われた男は、歪んだ欲望の闇から逃れようと、孤独な流浪の闇の中へとその身を沈めた。そして身を賭して守り抜いた幼い少女の生命と不名誉な汚名を遺して、全てを失った。邪な権力に奪われた平穏は二度と還らない、けれど自らの裡に滞る過去の闇を断ち切るが為、再び故郷の地を踏んだ彼女は槍を振るう。醜悪な陰謀、逃れようのない取捨選択、積み上げられた無残な屍、それを運命と呼ぶは容易く抗うは難い。水底よりも夜の淵よりも暗く深い心の奥底の闇へと、突き出される槍の穂先が閃く。
2010/09/29
Rin
【図書館】今回も一気に読めちゃいました。自分の過去と向き合うために故郷へと戻る。今回はカンバル王国。その国、土地での言い伝えやしきたり、そこに存在する「闇の守り人」。その核心に迫っていくほどに、続きが気になりページを捲る手がとまらなかった。種族や立場が違えば、考え方も違う。そうした色々な感情が渦巻く中、カッサを通じて沢山のものが見えてくる。物語が進むごとに深みも増していき、大人の支持が高い作品というのも頷ける作品でした。読み終えるとすぐに次の物語が気になって、手に取りたくなります。
2016/03/29
R
過去と向き合う、あるいは、清算するといえるような人生の分岐点を描いた物語でした。前作の続きとして読めば、当たり前の帰結であるように、バルサが故郷へと帰るという話だけども、その故郷で、自分が知らないうちにどのような物語が作られていたか、嘘や、方便や、政治とはどういうものかという薄汚いものを知らしめられる展開が続いてからの、正統といいたくなる主人公の正しさ、信念が描かれていて見事でした。バルサは、少年のように若くもなく、むしろ老練さを醸しながら、自分の過去と決着をつけていく様に共感を覚えました。
2017/05/25
桜父
守り人シリーズ2冊目。チャグムを守った後「バルサ」は故郷カンバル王国に戻って来た。バルサは養父ジグロと父カルナ汚名を晴らすために奔走するが、そこにはジグロの弟「ユグロ」が「王の槍」の頂点に君臨していた。 ログサム王よりも卑劣で狡猾なユグロの野心がこの話を盛り上げていた ジグロやカルナの汚名はスッキリとは晴れなかったけれど、バルサの心に一区切りをつけた終わり方は納得。話の終盤の怒涛の展開は読んでいてワクワクしました。題名の「闇の守り人」の謎も解明されて楽しめました。続きが楽しみです。
2015/09/17
Rosemary*
バルサは、養父ジグロの供養のため故郷カンバル国へ25年ぶりに戻る。しかし待ち受けていたものは、ことごとく都合のいいように湾曲された陰謀であった。ジグロの汚名を晴らしカンバル国を救うために闘う事に…運命と言う一言で到底片付けられない生い立ちであるがジグロは、バルサを待っていたのだろう。闇の中互いの想いをぶつけ合う槍舞いのシーンは圧巻で胸が熱くなり思わす涙を流していました。壮大な世界観とファンタジーに美しさが加わり引き込まれます。
2014/11/30
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