流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36)
流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド 36) / 感想・レビュー
七色一味
読破。対象年齢は小学校中・高学年。決して不惑を越えたおっさんが、満員電車の中で紐解く本ではない──。にもかかわらず、だ。頁を開けば、そこは慣れ親しんだ新ヨゴ。戻ってきた──そんな落ち着く感覚と共に、まだ幼少のバルサとタンダに会える。守人シリーズも残すところあと一冊、『火路を行く者』。これも早く文庫化して欲しい。電車の中で恥ずかしくなくなるから…。
2013/03/29
R
守り人の外伝、バルサの若かりし日を描いた作品集でした。本編でも少しだけ触れられていたエピソードが大きく膨らまされていて、ファンタジー色がより強い、だけど少し切ない物語ばかりで楽しめました。くっきりとしたオチではないけども、どこか物悲しいような、仕方ないとは違う、そういうものだといった雰囲気で終幕するのが素晴らしく、余韻を堪能できるものばかりでした。特に、架空の賭場でのやりとりが痛快かと思えば、職業と趣味の違いといえばいいのか、生きることを暗喩していて大好きでした。バルサの話が好きなんだなぁ。
2017/07/31
kaizen@名古屋de朝活読書会
短編4話。 浮き籾(うきもみ) ラフラ<賭事師> 流れ行く者 寒のふるまい 「浮き籾(うきもみ)」は、タンダが小さい頃の話。バルサとの出会い。 「ラフラ<賭事師>」は、バルサと養父のジグロの話。 「流れ行く者」は、ジグロとバルサの旅の話。 「寒のふるまい」は、タンダの掌編小説。
2013/04/19
ちはや@灯れ松明の火
血と酒の臭いが漂う薄暗い道から道へと渡り歩く大小二つの影は、かつて誇り高き王の槍と称された父と、やがて凄腕の女用心棒と呼ばれることになる娘。芽吹かぬ浮き籾のようにひとつ所に留まることなく流れ行き、繰り返す出会いと別れ、目の当たりにする人生の影。漂泊の日々の中、多くを語らぬ寡黙な父が娘に与えたもの、一人でも生き抜いていける知恵を、自らの身を守り闘う術を、時折覗かせる慈愛溢れた笑みを、己の生き様そのものを。浮き籾ではない、父の遺した心は確かに娘の中に根を張り受け継がれ、やがて始まる新たな物語へと続いていく。
2010/12/02
ゲンショウ
我が娘命託す父哀し…確かに、迷惑を感じたのかも知れない。ただ、私は自分の道を見失っていた…闇に舞って以降。強く在りたい…誰よりも強く。そう願い、ただただひたすらに生きた。でも、闇に舞う槍に歓喜は無かった。そんな時、お前を託された…。お前との生活は、他人から見れば修羅の道。だが、私には人の営み。怒り、悩み、喜び…。そして、お前の才に妬みと憧れを感じた。私は人として活き、人として逝けた。我が娘、バルサよ…だから、無理をするな。
2014/05/03
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