炎路を行く者 —守り人作品集— (偕成社ワンダーランド)
炎路を行く者 —守り人作品集— (偕成社ワンダーランド) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
「十五の我には見えざりし、弓のゆがみと矢のゆがみ、二十の我のこの目には、なんなく見える不思議さよ・・歯噛みし、迷い、うちふるえ、暗い夜道を歩きおる、あの日の我に会えるなら、五年の月日の不思議さを、十五の我に語りたや・・」ジグロの厳しくも温かな手はバルサを育て、その温かさはバルサを通してチャグムに伝わって行く。『天と地の守り人』カンバル王国編でカンバル王の前に膝を・・見事なホイ(捨て荷)をしてのけたチャグム。冒頭のチャグムのつぶやき「人を殺した者にも〜」に答えた後、手を伸ばしチャグムの頬を包むバルサ。→続く
2012/07/06
エンブレムT
・・・圧巻です。吟味された言葉で丁寧に紡がれていく物語は、脳内に映像として鮮やかに浮かび上がってきました。なすすべもなく運命に翻弄されていく少年・ヒュウゴを描いた『炎路を行く者』。彼の怒りと哀しみと虚しさ、その感情の迸りは目が眩むような激しさをもって、酔いにも似た余韻を物語に与えています。バルサの少女時代を描いた『十五の我には』ではシリーズ中一番好きなジグロに会え、それだけでも読んで良かったと思えました。・・・支流ではあるけれど力強く大河に流れ込み、シリーズの<核>として存在しているのがわかる物語でした。
2012/03/31
七色一味
読破。「守り人シリーズ」最後の1冊。あとがきによると、『天と地の守り人』執筆以前に生まれたために先に出版出来なかったという幻の作品だそうです。確かに『天と地の守り人』以前にこれ読んでたら、結末がわかってしまうという内容。本編中、実に不思議な──ある種黒子のような役割すら果たしたヒュウゴ、その彼のバックボーンとなった「炎路の旅人」と、北に戻ったチャグムが故国へと出征する夜、物思いに耽るバルサの脳裏をよぎった15歳の自分。「守り人シリーズ」の細部を埋める大切な物語。これも早く文庫化してほしい…。
2013/04/14
kaizen@名古屋de朝活読書会
炎路の旅人 十五の我には の2編。 「炎路の旅人」は、蒼路の旅人の前編。 「十五の我には」は、精霊の守り人の前編。 2つで一つ。
2013/04/17
R
守り人シリーズ外伝、ヒュウゴの生い立ちを追った物語でした。タルシュにヨゴ国が滅ぼされるところから物語が始まり、ヒュウゴの素性がありありと描かれていて興味深い一冊でした。ファンタジーであり、守り人シリーズの雰囲気なんだけども、描かれている内容は、ある種の不良少年記のようで、力と情熱をもてあます若者の非行と、それに気付き大人になるまでがセットになっていて面白く読めました。彼もまた、チャグムとは違うが成長し、国を導いていく者となるのだなと感動しました。
2017/08/01
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