鏡: ゴースト・ストーリーズ
鏡: ゴースト・ストーリーズ / 感想・レビュー
かりさ
取り巻く宇宙の広い子供の世界は、不思議なコトやモノが寄り添って来るような気がします。それぞれひとつの国から一人の作家が紡いだ6つの幽霊譚。子供の心の隙間にそっと入り込む闇の深さは、児童書ながらホラー短篇集として秀逸です。
2020/03/29
あたびー
角野栄子さんはじめ、全て違う国の作家による6編のゴースト・ストーリーを編んだアンソロジー。子供向けと言ってもそれぞれ恐ろしい物語。スーザン・クーパー(英国)「幽霊の話」NYCから郊外へ引っ越してきた1家。押しつけの多い父に反発してきたトビーは幽霊を相手に密かにテニスの練習をするが、ふとその幽霊の正体が気になる…角野栄子「鏡」ママが買ってきた骨董品の鏡の中に引き込まれてしまったアリ。入れ替わりに出ていった存在は好き放題を…
2023/11/12
ワッピー
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈25洋編〉参加本。世界児童図書評議会の12歳向けホラー・アンソロジー(1996)で、日本代表の「鏡」(角野栄子)を含む6編を収録。いずれも名品ながら、閉じ込められていたものの解放を扱った「幽霊の話」「眼」が印象的。誰にでもある恐怖にどう向き合うかは人それぞれですが、少年の屈折した心情と恐怖の道行きを描いた「山」、奪われた日常生活を見せられる「鏡」の希望の喪失の恐ろしさも新鮮でした。「クジラの夢」は重層的なイメージが難解。ヘタレのワッピーにはなかなかに怖い世界を探訪できました。
2024/07/14
内島菫
12歳向けのホラーらしいが、私は大人向けのものより怖いと思った(子どもってあるいは子どもを取り巻く世界って本当は怖いのではないか?と大人たちが心のどこかに押し込めていたものが開いてしまったかのよう)。特に角野栄子の「鏡」が怖かった。分身は基本的に一面的で弱点があり、鏡に閉じ込められた一見良い側面と、入れ替わりに鏡から出てきた?悪い側面の関係は、本来二つで一つであり、二つを分けてしまった鏡という境界はそれだけで幽霊的な存在だ。他の作品でも、山や夢という境界と子どもたち(そして高齢者)の親和性が示される。
2020/03/19
くさてる
児童書のゴーストストーリーアンソロジー。児童向けですが読み応えありました。どの作品もしっかり怖いのですが、児童向けには必要なジェントルさもあって良いアンソロジーでした。
2024/04/21
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