きみの声を聞かせて
きみの声を聞かせて / 感想・レビュー
chimako
声をなくした詩人の少女と光をなくしたピアニストの少年。空を越えたメールでの交流が始まる。詩を送る。音楽が流れてくる。また詩を書く。それが音楽になって送られてくる。少女はひとりぼっちから解放され、少年は勇気づけられる。流れる時間の中には辛いこともあるけれど、やがて少年は日本でコンサートを開くことになった。少年は会いたいと初めて手紙を書く。何度も書く。が、少女からの返信はない。少女は話せないことを伝えられないでいた。「きみのこえをきかせて」少年の願いはきっと少女に届く。願いはきっと叶う。少女の声が聞こえる。
2017/02/07
美紀ちゃん
ネット上で出会った2人。 音楽と詩を送りあっている。 地球通信。 星野葉香(ようか)は、中学2年生。言葉が出なくなってしまった。筆談。 大崎海渡(かいと)高校2年生。ニューヨーク州ハイフォールズ。視覚障害。 詩が素敵だが、曲に合うのか? 歌詞と詩は別のものだと思う。 曲を作る時は、パズルのようでもあり、 バランスも大切。 と考えたら、なんだかもう入り込めなくなり、最後まで読んだが、 こんなに上手くはいかないことが想像できてしまった。 新美南吉の優しさを再確認。
2021/09/23
風眠
声が出ない少女と、盲目のピアノ弾きの少年。日本とニューヨーク、SNSで繋がったふたり。心と心を重ねたモニター越しの日々は、ふたりの現実を大きく変えることはないのかもしれない。けれど、風が海を渡り、一枚の木の葉を舞いあげ、暗い水面に光のさざ波をおこすことはできる。たくさん言葉を交わさなくても、理屈じゃなく、感情じゃなく、わかり合える人と出逢えたということ。それはとても幸運なこと。そういう人に出逢えたのだから、出逢えたことに気づけたのだから、あれこれ考えすぎないで、諦めないで。どうかその一歩を、踏み出して。
2018/02/11
itoko♪
声を出すことが出来なくなってしまった少女と、海の向こうアメリカに住む少年が、パソコン通信により、言葉と音楽で心を通わせていく。それぞれが持たらす言葉や音楽が、会話を交わすようにお互いの心の奥底を震わせる。新美南吉の童話が、二人の世界を象徴するように静かに寄り添う。小さな灯りを点した部屋で静かに読みたい、とても素敵な作品です。
2016/10/20
ゆみねこ
突然声を失った日本の女子中学生・星野葉香は、SNSを通じてアメリカのピアニストの少年と交流を持つ。お互いの姿を知らないまま、詩の美しさと音楽の美しさに惹かれあう。君の声を聞かせてという、海渡の願いはきっと叶うはず。YA向けの本だと思いますが、心のささくれた大人が読んでも感じるところはあると思いました。
2017/09/15
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