卒業旅行
卒業旅行 / 感想・レビュー
ぶんこ
アメリカの小さな町でバンド仲間として過ごした5人。ウッドストックへの卒業旅行を約束していた。日本に帰国していたナナは、大学入学後のゴールデンウイークに渡米。日本にいるナナ以外の4人で行なうはずだった小学生へのギター教室で乱射事件が起こる。ノエル以外の3人は諸事情があって不参加。残された者としての罪の意識に苛まれる。犯人への憎しみと喪失感。だが、唯一の被害者となったノエルの母の「憎悪は憎悪しか生み出さないとわかった」の言葉が重い。自分が当事者となったら、犯人を許せるか?自分を許せるか?答えは出ない。
2020/12/29
horihori【レビューがたまって追っつかない】
アメリカで高校生活を送ったナナは、卒業を待たずに帰国するが、当時バンドを組んでいたメンバーと卒業旅行を計画していた。だが、メンバーのノエルが小学校銃撃事件の被害に遭い、亡くなったことで旅行は実現しなかった。事件の翌年、ナナは仲間たちとの約束を果たすため再びアメリカの地を訪れる。先進国の中で唯一死刑を執行している日本。その意義を考えされられる。犯人を許すことで前に進む遺族。この感情は、子どもには難しいかも。子どもは20年前に起きた池田小襲撃事件のことが出てきたことで、少し身近な気持ちで読めたらしい。
2021/05/19
ゆっき
小手毬るいさんのYA最新刊。罪と罰、死刑の是非、憎しみや悲しみという感情について考えさせられる作品でした。バンド仲間のノエルが銃乱射事件で亡くなり、後悔や責任を感じて苦しむメンバーたち。そこから許すことで前に進もうとする生きていく力を感じました。ノエルの写真と共に約束の卒業旅行へ。
2020/11/29
tetsubun1000mg
表紙のイラストからアメリカの学生の物語と想像していたがかなり違った内容でした。 高校生のバンド5人組が作詞しながら音楽に合わせてストーカーが進んでいく。 日本人のナナが日本に帰っている間に事件が起こり、バンド仲間がばらばらになっていた。 中盤以降は日本とは違う凶悪な事件と、罪と罰に対する人々のとらえ方の違いなど考えさせられる内容でした。 最後は救いの兆しが見え始めて余韻を持って終わる。 今まで読んだ小手鞠るいさんの作風とは全然違ったが面白かった。 1956年生まれでこんな青春物語が書けるのは素晴らしい。
2021/01/01
ふぇるけん
アメリカでバンドを組んでいた日本人少女ナナ。約束の卒業旅行を果たすために渡米した先に待っていたのはある事件をきっかけに全く変わってしまった仲間たちだった。非業の死を遂げた仲間の死を乗り越えるために彼らがとった行動と感情の動きがとても生々しく伝わってきた。死刑制度の是非、そしてなぜ死刑が必要/不要か、さまざまな葛藤があり、もちろん簡単に答えが出る問題ではないが、いい視点を与えてくれる本だと思います。
2021/01/11
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