ユージン・スミス: 楽園へのあゆみ
ユージン・スミス: 楽園へのあゆみ / 感想・レビュー
とよぽん
ユージン・スミス(1918~1978年)は、太平洋戦争中はサイパン島、沖縄で写真を撮り、高度経済成長期には日立製作所、そして70年代に水俣の写真。フォト・ジャーナリストとしての仕事は日本と縁の深い時空と共にあった。あの「楽園へのあゆみ」は、ユージンのお子さんを撮った作品だった。ユージン・スミス写真展が富山県で開催されたのは2009年の夏。チケットも大切に保管してある。こんなすごい生き方をした人だったと知って驚いた。分類は児童図書740だが、大人が読んでもユージンの生き方が強烈に伝わってくる。
2021/09/09
ちゃとら
【図書館本】映画『MINAMATA』から興味を持って、偶然児童書のコーナーで見つけた本。小学生向け⁈表紙の写真が素敵で読んでみた伝記。とても簡潔に、でも繊細に丁寧に描かれていた。彼が水俣に関わる前の葛藤と作品、モノクロの奥深い写真がとても素敵だった。そして彼を写した写真が数枚。子供達を見つめていた眼差しは優しかった。大人でも、とても良い本だった。
2022/03/26
yamatoshiuruhashi
幼い子供2人が森の小路から明るい場所へ抜け出ようとする瞬間の「楽園へのあゆみ」、水俣に住み水俣病を伝える写真で知られるユージン・スミスの伝記。被写体となった人々には普通の生活があり劇的な場面だけではないと言うことを前提に、温かい目で撮られる写真を改めて見てみると作品への味わいも変わってくる。取材対象となったシュバイツァーもアフリカの聖人ではなく自らの我儘と孤独に悩む一人の人間であったことを印象深く読むが、彼自身も水俣での苦闘を支えた妻がいながらまた別の女性を愛するような自分に悩んでいたのだろうと想像する。
2017/07/23
千加
ユージンの事を知る事になったのは、読みともさんの影響と、日本国憲法の絵本がきっかけでした。誰もが大切にすべきものを忘れがちに忙しく生きるが、その事を見失わずに生きることは「生きる」とはどういうことかをきちんと認識している。人間らしさ、人の弱いところも愚かなところも含めてそれらを認め立場を越えて正す努力。許せない暴力や戦争、公害。みんな自分がかわいいけれど、だからこそ「きびしい状況のなかにありながら美しく輝く人間の姿」を求めることが美しい。ユージンは少し困ったこともするけれど、ちゃんと愛されてるね🌿。
2020/09/26
かふ
小学校の図書室にユージン・スミス『水俣』で怖いもの見たさに見ていた。先日ETV特集で「写真は小さな声である~ユージン・スミスの水俣~」をみて再び興味を持った。ジョニー・デップの映画も公開予定だったこともある。ユージン・スミスの写真はいわゆる「決定的瞬間」ではなく、その社会に溶け込みながら一枚の写真に物語を焼き付けていく。自殺した父の記事が新聞に掲載されたときにその自殺だけが取り上げられてショックを受けたという。だからユージンはカメラを持ちながらも対象者と共に暮らしながら写真を撮る。
2020/09/15
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