異世界拷問姫9 (MF文庫J)
異世界拷問姫9 (MF文庫J) / 感想・レビュー
坂城 弥生
シリーズ最終巻。壮絶でした…
2022/08/15
真白優樹
歪んだ愛しか知らぬアリスが世界を壊し、世界を愛する意志を継いだエリザベートは立ち塞がり、ジャンヌとイザベラは愛に殉じる。この世界に生きる誰もが躍動し、心の奥底に抱えた愛と願いに殉じ戦う今巻。屍を積み上げ血を流し。その果てで目覚めた櫂人が全てを終わらせ、世界は新たな道を作り出す。そしてまた、まるであの日のように出会う二人。彼等三人、もう何者でもない者達の願いの物語はこれからなのだから。どこまでも卑しく醜悪で、だけど同時に純粋で一途な愛の御伽噺。全てが結実す正に満点の大団円、貴方も是非彼等の辿り着いた場所へ。
2020/02/28
のれん
心情描写が情景に繋がる作家性が、今作最終巻にして爆発していたように感じる。最終戦とか旧劇エヴァ並に愛憎が可視化されている。挿絵の絵画感とこれほどマッチするのもないだろう。 イザベラ&ジャンヌといったサブ面々も其々意思が統一されて死を厭わない行動が神話的に感じる。ラストの別れもエピローグの再会も、進む人類の時代とは切り離された、神話の時代を舞台にしてるかのよう。 現代小説というよりも近世の御伽噺の翻訳のようだ。作者の感性は本当の意味でファンタジックであり、現代においては非常に希少な感性のだと思う。
2020/02/27
アツシカ
選ぶということ。数多の傷を負いながら、泥まみれの宝石を大切に選び、抱きしめた人間たちの物語が終わりました。宝石だけでなく、泥も傷も、確かに彼らの手にふさわしいものだったと思います。未来は彼らの手の中に、ということで。迷わず選びとったカイト、迷いながら選んだエリザベート。彼らの鏡像として何も選ばないことを選んだルイスとアリス。彼らをとりまく愚かしくも美しい人間たち。その全てが愛おしく、愚かな愛を高らかに謳った本作にふさわしい最終巻でした。物語が終わった後も続く世界に幸多からんことを。
2020/03/06
史
多くのモノが失われるも、世界は残り、未来は続いていく。そうした中に、一つの物語が終焉を迎えた。ハッピーエンドというには余りにも失われたモノが多い。だけどそれでも、めでたし、めでたし、なのである。重厚なダークファンタジーのお手本で、とてもとても面白かった!
2021/04/02
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