流浪地球
流浪地球 / 感想・レビュー
パトラッシュ
読んでいるうちに、頭の中で手塚治虫の漫画で再現されていた。地球を宇宙船に改造したり、人類をミクロ化するなど奇想天外な物語は「アトム」やその他の作品と似たものを感じるためだが、何よりSFドラマに不可欠なセンス・オブ・ワンダーを思い切りぶち込んで地球の未来を思索するスタイルは手塚とそっくりなのだ。科学の発展についていけなかったり、容赦ない破滅に否応なく巻き込まれる人間の喜怒哀楽を描く点で、日本と中国の天才は奇妙に一致する。特に宇宙ソーラーシステムの鏡面を手作業で清掃する労働者を描く「中国太陽」がベストだった。
2022/10/06
absinthe
これオススメ。表題作も面白かったが、最後の『山』が秀逸!地中から進化した半導体生命の壮大な科学史に感動する。見えない部分は想像に任せ、意外な発見がある度に世界観を二転三転させて進化してきた半導体生命の愉快なお話。『中国太陽』、これはいかにも中国らしい貧農とエリートのお話。この作家、蟻と恐竜の話がよほど好きなのか『貪食者』にも書かれている。一瞬を切り取ったスナップショットの様なエピソードでありながら、背景に長い歴史が横たわっているのを感じさせる作品が多い。
2023/01/16
KAZOO
「老神介護」に引き続いてのこの作者の短編SF集です。やはり表題作が面白く、壮大な考え方ですよね。むかしにもあったような気がするのですが、地球を一つのロケットにして・・・、ということで。また「呑食者」も地球の将来を暗示している感じで私には楽しめました。SFとは言いながらそんなにテクノロジー関連の話があまり出てこないので非常に読みやすい気がします。この作者は「三体」をはじめとして私には読みやすい気がしました。
2022/10/11
とん大西
視野におさまりきらない巨大な波柱、圧倒されそうなほどに接近してくる惑星。…劉慈欣、見てきたのか?人類未体験のこの戦慄の光景を…。壮大なスケールという表現ではおさまらない。漆黒の宇宙空間に漂う人類の溜め息。それを脳と肌でビンビンに感じてしまう。天を貫く光の柱・地球エンジン。数万基のそれを推進力に自転をやめた地球が向かう太陽系とは別の宇宙。表題作「流浪地球」…荒涼たる平原、無尽の哀愁…。容赦ない描写は人間の行方に希望的観測を与えない。う~圧倒されたぁ。
2022/12/07
まちゃ
劉慈欣のSF短編集。どれも捻りが効いていて面白かったです。SF好き、三体ファンにお薦めです。表題作「流浪地球」は、Netflixで配信された「流転の地球」の原作。映像を思い出しながら読みました。好みは「ミクロ紀元」と「呑食者」。星新一作品にも通じるユーモアを感じました。同時刊行の『老神介護』も読まないと。/【収録作】「流浪地球」「ミクロ紀元」「呑食者」「呪い5.0」「中国太陽」「山」
2022/10/23
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