騙し絵の牙
騙し絵の牙 / 感想・レビュー
starbro
『罪の声』に続いて、塩田武士2作目です。大泉洋主演小説という試みはユニークですが、特に小説の内容には影響していないような気がします。最初タイトルからミステリなのかと思って読み始めましたが、構造不況業種、出版業界のリアルでした。まるでノンフィクションのような感じです。今後どのようにして電子メディアに移行するのでしょうか?
2017/10/18
ウッディ
雑誌「トリニティ」の編集長を務める速水輝也。編集者として作家からの信頼も厚く、部下からも慕われ、社内外で一目置かれる存在。斜陽の出版界で雑誌の廃刊危機を回避し、小説の発表の場所を守る為に奮闘する。キレ者でありながら、ユーモアのあるトークで場を和ませ、人の心を掴む速水がとても格好良い。速水の軽妙な言葉が大泉さんの口調に脳内変換され、映像が浮かんでくるようでした。この仕掛け自体が速水編集長の企画ではないかと思わせる二重の仕掛けか?どんでん返し以降が少し冗長な感じがしたが、意欲的な作品で、とっても面白かった。
2018/07/21
bunmei
主人公・速見輝也に大泉洋を「あてがき」して描かれた一冊。デジタル化の波は、出版界を斜陽産業へと導き、その中で、何とかその流れに逆らいながら、新たな切り口を見いだそうとしている現状。上司からの軋轢、昔気質の作家への依頼、異業種との提携など、様々な仕事上の苦難に立ち向かい、そこに家庭での孤立感も上乗せされながら孤軍奮闘していく速見。最後は、あまりに意外な展開に唖然としながらも、このタイトルの意味がそこで納得しました。個人的には、毎年、100冊近くは、新しい本を購入し、かなり出版界に貢献しているのかな・・・。
2018/02/06
サム・ミイラ
この表紙を見た時の正直な感想。何だこりゃ?なぜ大泉洋が?以来気になっていたけどやっと読めました。彼をモデルにしたコラボ作品でこれが大正解。読みながら頭の中で大泉洋が映画のように動き出す!ひとつ間違えば大コケする手法だけど彼をイメージして書いたのか、ギャグの言い回しひとつとっても大泉洋そのものだからでしょう。内容的には出版社のお仕事小説でありながら現代人の抱える問題をも切りとりまあ面白いじゃないと読み進むもこれがとんでもない話に。やられました。見事です。思わず表紙を見直しました。大泉洋の表情が違ってた(笑)
2018/06/09
ケンイチミズバ
会話を何度も読み返して笑った。ドラマや映画化が決まっているわけではないのに特定の俳優さんを主人公に想定しての物語が、大泉さんだしうまくいってる。いじられキャラの彼ならこんな表情でこんな冗談を言うだろうなとはまった。各章ごとのポートレイトがこれまた。ネットの力で衰退する業界、よくて現状維持、難局を渡り歩く同世代サラリーマン、中間管理職にとても共感できた。敵も味方も人物それぞれの個性が響いてきてついつい具体的な俳優さんを想像してしまう。封印した関西弁、消したい生い立ち、自分にも似たようなものがあり、頷けた。
2017/09/19
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