パワースピーチ入門 (角川新書)
パワースピーチ入門 (角川新書) / 感想・レビュー
Kentaro
政治的リーダーは、これに比べてもなお、責任が重い。政治の原資は、人びとから有無を言わせず集めた税金だ。なぜ有無を言わせず集めることができるのか。それは、政府が人びとの幸福に責任をもち、その生命と安全と財産を守り、公共サービスを提供するからである。公共とは、家族を超え、共同体や地域を超え、政治的リーダーは、その社会のすべての人びとと、この重い任務を通じて結びついている。よって言葉で、その任務に応える意思があること、能力があること、方法があることを伝えなければならない。これが、政治的なスピーチの本質である。
2022/06/09
ころこ
言文一致の問題は文章の方の問題だといわれてきましたが、なるほど、出口をスピーチの方にみれば、スピーチする内容の文章をスピーチすることの難しさに言文一致の問題があり、それが日本における日本語スピーチ下手くそ問題の一因だというのは慧眼です。ポスト・モダンだとか成熟社会だとかいっても、とにかく近代国家なのだから、最低限のところで近代らしくしよう。この社会における問題は、それで解決できることが大半だというのが著者の通底した問題意識です。著者のいうことは簡潔であり、本書はお手本のスピーチ原稿のように書かれています。
2020/07/15
いーたん
コロナに対応するリーダーたちのスピーチは、怖いくらいその人の器、或いはその国のパワーを描き出していることを、私たちは知ってしまった。スピーチ文化が根付いていない日本で、どうすればパワースピーチができるリーダーが輩出されるのか?著者ならずとも気になるところ。スピーチライターに任せても最後は自分の言葉で簡潔に伝えること。簡潔な言葉は、いくつもの思考の過程を経て、その表現しかない、と思えるほどの言葉であること。だからそこにパワーが宿るんだなぁ。ともすれば、お役所言葉である整備文体に慣れている我が身を反省。
2020/09/22
ta_chanko
日本人はなぜスピーチが苦手なのか?それを伸ばす方法も意識もないから。コロナ禍で語られるリーダーのスピーチも、官僚の作文の棒読み状態…。諸外国にはクオモ・メルケル・チャーチルなどのパワースピーカーが。日本にも、粛軍演説の齋藤隆夫がいた。自分の言葉で語ること、言い訳をしないこと、力みフレーズも不要、順序を整理する。「7%の法則」で一定数を越えれば、社会が変わる。各所におけるリーダーのパワースピーチによって。
2020/08/20
miki
スピーチのテクニック的な要素も含まれるが、この本はもっとスピーチの本質を論じている。「スピーチは、現実をつくり出す力がある。」この本のロジックを追っていくと、その意味がわかった。日本にスピーチ文化が根付いていないこと、日本の政治家の説明の中身のなさ・無駄の多さを著者は指摘してる。この本は安倍政権末期に出版されているものだけど、スピーチ力のなさが際立っていた菅前首相をどう思ったか、著者の意見を聞いてみたいなあ
2022/08/14
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