たった一人のオリンピック (角川新書)
たった一人のオリンピック (角川新書) / 感想・レビュー
fwhd8325
初出で読んでいる作品もあるのだろうけど、おそらく、あの頃は今回のような感想は持たなかっただろう。表題作よりも「すまん!」に震えました。猫田さんという名セッターがいたことは、もちろん知っていますし、若くして亡くなられたことも。偶然なのか必然なのかわからないけど、ここから日本の男子バレーが凋落していったことを考えると、恐ろしい内容だなと感じるのです。この作品以外にも、未来を予見していたかのような内容がいくつかあることに驚きました。あの頃、沢木さんに刺激されノンフィクションばかり読んでいたことを思い出しました。
2020/09/30
雲國斎
引き続き山際さんのスポーツノンフィクションを読む。山際さんの作品に取り上げられたことは、「本人の知らないところで、本人のイメージが出来上がってしまうというリスクがノンフィクションにはつきまとう」というケースも。巻末の解説のこの一文も胸に響くものがある。山際作品に取り上げられた選手たちもただ脚光を浴びただけではなかったわけだ…。
2021/06/29
ふう
ノンフィクションだからこそ、一瞬の切り取り方次第で描かれる世界が光りも色褪せもする。猫田の現役時代をずっと知っているから、「すまん!」が一番心に残った。大古とのやりとりから当時がまざまざと思い出されて、早くに亡くなられたのがつくづく残念でならない。書き手の山際淳司氏も然り。
2021/04/07
higassi
★★★★☆ 久しぶりの山際淳司さん。ずいぶん前(20世紀?)に「スローカーブをもう一球」を読んで以来です。今となってみると、若い頃は「光」の要素に惹かれながら読んだのが、「影」の要素により想いが向かうようになった気がします。山際さんの死後に国内でも長野五輪、サッカー・ラグビーのワールドカップ、そして東京五輪と、国際的なスポーツイベントは続いており、在命だったらどんな作品を書いたのだろうと沁み沁み(毎日新聞「今週の本棚」201017)。
2020/11/27
ぶるーめん
山際淳司氏の過去の著書からオリンピックに関するものなどピックアップした傑作選。といってもボートのシングルスカルやソフトボール、棒高跳びなど、知られざる選手の物語が中心。氏の著書らしく、勝ち敗けではなく、それぞれの競技者の挑戦が描かれ、スポーツノンフィクションを読むと得られるカタルシスではなく、何とも考えさせられる読後感。亡くなられてもう25年。亡くなられた年齢に自分も追いついてきたかと思うと自分を省みて何とも言えなくなる。
2020/08/31
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