地政学入門 (角川新書)
地政学入門 (角川新書) / 感想・レビュー
trazom
佐藤さんの本は、表題よりも、付随して語られる情報や話題の方が面白いことがよくあるが、本書もその例に漏れず、ロシア、中東、宗教などに関わる蘊蓄を聞く楽しさがある。ただ、2016年刊行の書籍の再編集のため、時事ネタには情報の古さが否めない。改めて、地政学の祖・マッキンダーを復習できたのが収穫。サハラ砂漠以南のアフリカという「もう一つのハートランド」を、私は読み落としていた。20世紀初頭に、アフリカに注目し、2つのハートランドの結節点としての中東(まだ油田は発見されてない)の地理的重要性に気付いていたとは鋭い。
2022/01/19
さきん
基本的な地理はもちろん、経済、歴史、統計、宗教、政治、あらゆる知識が複雑に絡み合う地政学。さすがロシア専門家にあって、ロシアの南下政策やユーラシア主義の解説に詳しい。功利主義者でキリスト者を自負する著者だけにあって、個人の自由や思索を大事にし、民族や共同体の連帯を強調するナチズムやファシズムを警戒する論調が目立った。民族選民優位を説いて周りと摩擦を起こすユダヤの選民思想やナチズムに類する思想は、困窮した社会に生じやすいため、警戒したい。
2021/12/03
ともっこ
最近「地政学」が熱いということで、俄に興味を持ち読んでみた。 地政学はナチスと結びつけて考えられることが多く、戦後はどこかタブー視されていて大っぴらな研究もされていなかったらしい。 しかし、この視点を持っているのといないのとでは先見性に大きな違いが出てくるだろう。 国際政治・国際社会を理解する上で、歴史はもちろんのこと地理も重要だということがよくわかる。 本書は入門書、取っ掛かりとしてとても面白く読めてお勧め。 必読書と言われる『マッキンダーの地政学』と曽村氏の『地政学入門』(中公新書)も読もうと思う。
2022/03/15
奈良 楓
著者の頭の良さのためか、あちらこちらへ論点が飛びます。本書が佐藤理論かエビデンスがあるのかはよくわからないですが、勉強にはなりました。大陸国家か海洋国家かによる覇権の方法論の違いは意識したいと思います。ロシアは怖そうな国ですが、佐藤さんの本を読むとうまく付き合えば面白い国なのでは、と感じる。
2021/12/04
れいまん
入門書のわりに難しいかな 地政学は、二次元ではなく三次元で見ること、山の高さが重要 それと、人種と宗教でみていくというのは著者の独自視点と思う。
2021/12/03
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