翔べ麒麟(下) (角川文庫)
翔べ麒麟(下) (角川文庫) / 感想・レビュー
NAO
玄宗皇帝の老いらくの恋と安史の乱に戦々恐々としながらも、遣唐使一行は鑑真の日本招聘と阿倍仲麻呂の帰国願いに奔走する。華やかさ、頽廃的な雰囲気と風雲急を告げる戦の足音と、唐末期の雰囲気を肌で感じられる楽しいエンターティンメントに仕上がっていて、とてもおもしろかった。
2016/03/26
KAZOO
史実と物語が一緒になっているので、読みにくい人もいるのでしょうが、私はエンターテイメントと割り切ってその中に史実に出てくる人もいるということで楽しんでいます。夢枕さんの空海や陰陽師などと同じと割り切って楽しんでいます。
2014/07/30
河内 タッキー
阿倍仲麻呂の唐での活躍を、やや日本人目線で語る話は少ない。架空の人物が活躍し、フィクションもかなり入っているが、うまく史実に溶け込ませている。阿倍仲麻呂の「あまのはら・・」や、杜甫の「国破れて山河あり・・」の嵌め込み方がうまい。この時代の人物の関係をさらに知りたいと思った。
2018/08/07
みっちゃんondrums
安史の乱の頃の話になる。史実と創作が入り混じるのは歴史小説としては当然だが、主人公のモテ男、藤原真幸は実在していなかったのね。日本に帰れなかった可哀そうな遣唐使というイメージの阿倍仲麻呂=朝衡が、たくましい策士として描かれていたのが面白かった。ただ、ほかの著者だったら泣かせどころだろうと思われるシーンで泣けなかったのは、物足りない。この著者の個性なのか、わざとあっさり描いたのか。人の描き方が一面的ではないところには好感が持てる。そして、この時代の東アジアの国際情勢に興味を抱けたのは収穫かな。
2014/11/21
Ryosuke.*
“国破れて山河あり……”物語は安史の乱に突入し、クライマックスへー。史実に基づいているので結末は想像しやすいですが、歴史小説の楽しみ方のようなものを存分に味合うことのできる物語であると感じます。百人一首に編まれている阿倍仲麻呂の和歌や杜甫や李白の歌も随所で登場し、唐の光景をより鮮明に脳裏に浮かび上がらせます。故郷から遠く離れた異国の地にても、当時最先端をいっていた唐で戦乱が起きようとも、変わらないものや想いがある。遠く時代を隔てても彼らの歌が色褪せないことってとても浪漫的。良い作品に出逢えました。
2017/11/30
感想・レビューをもっと見る