コロヨシ!! (角川文庫)
コロヨシ!! (角川文庫) / 感想・レビュー
有
壮大、そして独創的な世界観。場所や建物の造語、スポーツのルールや政治的背景まで、これでもかと練り込まれている。成る程これは1冊で終わる訳がない。かしこまった文章や、ここではない雰囲気に慣れてしまえばすぐだった。出てくるキャラクターは多いけどそれぞれが魅力的。これまで私の中で三崎さんの本は、不思議で儚い印象だった。でもこの本からは、強引に連れ回されるような力強さを感じる。舞う描写からは、自由で美しい印象を受ける。私の想像力が及ばないので、是非漫画かアニメで見てみたい。泥船に乗ったつもりで待っておりますぞぉ!
2013/07/03
おかむー
「掃除」を古来より伝わりながらも政府によって管理されているスポーツとして描いた異色作、でも引っかかる点が多くてちょっとなぁ…。『可もなし不可もなし』。複雑な政治的事情で制限を受ける「掃除」という題材はすごくよい、でも架空のスポーツを描くにはいい意味での軽さに欠ける感触。主人公・樹がひたすら内向的で気が重くなる。周囲のひとびとには認められ信頼されているようなのだけれど、それにふさわしい樹の魅力がどこにも描かれていないのでなんだかモヤモヤ。大半の登場人物が思わせぶりな態度だらけでなおモヤモヤ。続編ありきだなぁ
2015/07/22
アイゼナハ@灯れ松明の火
『頃良しっ!』鮮やかにして爽やかな、舞い初めの一声も心地よい、三崎亜記流青春武道小説。〈西域〉〈居留地〉など『失われた町』と世界観を共有する、ここではないこの国で、高校三年間しか活動が許されない特定管理スポーツ『掃除』。語感からくるコミカルなイメージを艶やかにして凛冽な美しさを持つ競技として再構築してのけた手腕には相変らず脱帽です。謎に包まれた世界観のなかで、主人公樹の惑いのなかで心に吹く風、そして『掃除』という競技そのものを巻き込まんとする新しい風、これからどうなるのかワクワクします。面白しっ!
2011/12/24
あつひめ
続編もあるようなので、すぐにでも読んでみたい・・・というか、続編を見ないとこの先はどうなるのかと気が気でならない。やっと見えない謎に立ち向かっていく覚悟を持ったとでも言うか。「となり町戦争」のあの見えない世界。かかわるものはごく一部。そのごく一部が街を救うというか・・・そこに近いような印象を受けた。限られた世界だけで存在する部員たち。掃除がスポーツ競技という設定が意外性を生んでとても興味を持った。言葉でその技の難しさや美しさを表現していく。これこそ映像化したら他のスポーツものに劣らないのでは?と思う。
2012/10/15
nins
奇想天外三崎ワールド。爽やか青春小説。なんだこれと思うような独特の世界観。テンポが早くてぐいぐい引き込まれる。高校三年間限定競技として「掃除」が確立する世界。高校2年の主人公の樹。正式に掃除部に属していないながら、新人戦では力を発揮。ただそれでも目標が見えない曖昧な毎日。そんな毎日が一転していく。個性豊かな登場人物達。スポーツ掃除からどんどん規模が大きくなり。「掃除」の謎、旧国技などの関わりと深い話も。極めつけはさぁこれからだ的な、まるでマンガのようなストーリー展開。これなら続編も納得。正に頃良し。
2012/11/26
感想・レビューをもっと見る