戦友の恋 (角川文庫)
戦友の恋 (角川文庫) / 感想・レビュー
さおり
初めましての作家さん。本屋さんで何気なく手に取るという、近年なかった行動により積まれた本です(いつもは読メに頼りまくってるので)。これねー、好きなやつでした。なんかね、川上未映子さんをわかりやすくしていって、そのうち綿矢りささんを通り越して、まだまだ易しくしてったらたどり着く心地いい場所って感じ。つまり、文が長いってことです(何がつまり、だ)。最後、突然終わるんだけど、そういうとこも私好み。まとめがある本が好きじゃないので。帯に「大島真寿美の最高傑作」とあるので、次行くかは迷うとこですけど・・・。
2015/02/27
したっぱ店員
戦友と呼ぶべき編集者を亡くした作家。彼女のいない世界を生きる、喪失感、無常感をかかえた日常が、やがて「健やかな日々」と人に思われるように。完全に内包されたということなのだろうか。失った彼女には及ばないかもしれないが、後任の編集者ともしだいに戦友のようになっているように思う。それは積み重なっていきながら決して上書き消去ではない。淡々と静かだが滋味のある1冊。
2020/06/06
巨峰
質の揃った連作短編。友情というより戦友という言葉のしっくりくる2人の女性の話。だか、物語の始まる前に1人は死んでしまっている。残された私はどういきるのか……テーマもいいけど、そこそこ大人の、仕事をしている女性の生活が興味深くたのしめました。
2013/03/15
らむり
良かった!やわらかくて美しい30代女性の友情小説。どの登場人物もみんなイイ。
2014/05/16
kana
女の複雑な友情を描いた物語かと思ったら、戦友のような強い絆で結ばれた玖美子を亡くし、喪失感とともに一人、「長い長い喪中」を生きる女性の連作短篇集で驚きました。キャリアを築くまでの仕事の日々も、恋愛も、友情も、あっさり流してしまって、アラフォーになって。「おばさん」と呼ばれて不意に気付く自らのささやかな老い。それでいいのかと読みながら少し不安にもなったけれど、でもそこで終わったりはしない、再び訪れる「潮目」とようやく見つけた細い線、そして絶景に心打たれます。滋味に富む旅館の朝食のような佳作でした。
2013/02/16
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